ECO(試験内容の概要)とは?
ECO(Examination Content Outline)は、PMIが公開しているPMP試験の出題範囲の文書です。公式日本語版の名前は「試験内容の概要」です。採点される問題は、どれもECOのタスクに対応づけて作られています。
ECOは3つの階層でできています。いちばん上が領域(ドメイン)で、People・Process・Business Environmentの3つです。その下に、プロジェクト・マネジャー(PM)の責任を表すタスクがあります。各タスクにぶら下がる仕事の例がイネーブラーです。
公式日本語版では、領域を「ドメイン」、イネーブラーを「実現要因」と訳しています。3つの領域は「人々」「プロセス」「ビジネス環境」です。この記事では、英語の領域名とイネーブラーという呼び方を使います。
イネーブラーは全部で138個あります。ただし例示で、すべての仕事を並べたものではありません。暗記の対象ではなく、タスクの中身をつかむ手がかりです。
PMIは、どの回の試験にも各領域のすべてのタスクの問題を入れ、領域の比率を守るとしています。苦手なタスクを丸ごと捨てる作戦は成り立ちません。
ECOはPMBOKガイドの章立てとは別物です。実務家の仕事を調べるジョブ・タスク分析(JTA)から作られています。2026年版では、AIやサステナビリティといった新しい傾向も、この分析の材料に使われました。
ECOは、PMIのPMPページから無料でダウンロードできます。言語を選ぶ欄があり、日本語版も選べます。
- 領域(ドメイン)People・Process・Business Environmentの3つ。出題比率が決まっている
- タスクPMの責任。2026年版は全部で26
- イネーブラー(実現要因)タスクに含まれる仕事の例。全138個。網羅ではなく例示
2026年版ECOの全体像は?数字で見る3領域
まず全体を数字でつかみます。ECOに書かれているのは領域ごとの比率で、問題数そのものではありません。下の表の問題数は、180問に比率を掛けた当サイトの計算です。
表の番号は当サイトの略記です。PeopleのタスクはP1〜P8、ProcessはR1〜R10と呼びます。Business EnvironmentはB1〜B8です。
| 領域 | 比率 | 180問に当てはめた目安 | タスク数 | イネーブラーの数 |
|---|---|---|---|---|
| People(人) | 33% | 約59問 | 8(P1〜P8) | 39 |
| Process(プロセス) | 41% | 約74問 | 10(R1〜R10) | 64 |
| Business Environment(ビジネス環境) | 26% | 約47問 | 8(B1〜B8) | 35 |
| 合計 | 100% | 180問 | 26 | 138 |
計算は、180×0.33=59.4、180×0.41=73.8、180×0.26=46.8です。四捨五入すると59・74・47で、合計は180問になります。
1タスクあたりにならすと、PeopleとProcessは約7.4問、Business Environmentは約5.9問です。どのタスクも、1回の試験で数問ずつ出る計算になります。
旧版のBusiness Environmentは4タスクで8%、180問なら約14問でした。新版では約47問です。旧版の感覚で「ビジネス環境は少しだけ」と考えると、全体の4分の1を取りこぼします。
People(人)領域の8タスクは?
Peopleは全体の33%です。チームを率い、ステークホルダーと関わる力を問います。表のタスク名は公式日本語版の表記と英語の原文です。右の列は、試験に出やすい場面と問われる判断を当サイトがまとめたものです。
| 番号 | タスク名(公式日本語版/英語) | よく出る場面と、問われる判断 |
|---|---|---|
| P1 | 共通のビジョンを育む(Develop a common vision) | メンバーや主要な関係者で目標の理解がずれている。→ ずれの原因を確かめ、ビジョンをすり合わせ直す。状況が変われば更新する |
| P2 | コンフリクトを管理(Manage conflicts) | メンバー同士の対立、グランドルール違反。→ 原因と背景を確かめてから、合意した方法で解決する。PMが一方的に裁かない |
| P3 | プロジェクト・チームをリードする(Lead the project team) | 役割があいまいで、チームが指示待ちになっている。→ 期待と役割をはっきりさせ、権限を委ね、状況に合うリーダーシップを選ぶ |
| P4 | ステークホルダーを関与させる(Engage stakeholders) | 影響力の大きい関係者が非協力的。→ 関心と影響を分析し、相手に合わせた伝え方で信頼を築く |
| P5 | ステークホルダーの期待を調整(Align stakeholder expectations) | 部門ごとに期待が食い違う。→ 期待を洗い出して分類し、話し合いの場でそろえる。メンタリングの機会も生かす |
| P6 | ステークホルダーの期待をマネジメント(Manage stakeholder expectations) | 社内外の顧客が成果に不満を示した。→ 期待と成果のずれを確かめ、満足度を見続けて必要な手を打つ |
| P7 | 知識の伝達を確実にするよう支援する(Help ensure knowledge transfer) | キーパーソンの異動が決まった。→ 欠かせない知識を見極めて集め、共有しやすい場をつくる |
| P8 | コミュニケーションの計画と管理(Plan and manage communication) | スポンサーが報告に不満を持っている。→ 報告の要件を確かめ、相手に合った報告と、透明性・フィードバックの仕組みを整える |
P1のビジョンは、新版で初めて独立したタスクです。
Peopleで正解になりやすいのは、まず話を聞き、原因を確かめ、チームが自分で解決できるよう支える行動です。反対に、PMが一人で決めて命じる選択肢は、たいてい外れます。最初の一手として、いきなり上位者に判断を任せる選択肢も同じです。
P5とP6は名前が似ています。P5は、関係者どうしの期待を話し合いでそろえる場面です。P6は、社内外の顧客の期待に成果を合わせ続ける場面です。この違いで区別すると迷いません。
Process(プロセス)領域の10タスクは?
Processは全体の41%で、最も比率が大きい領域です。進め方を決めて計画し、価値を届け、状況を評価して、終わらせるまでを扱います。
| 番号 | タスク名(公式日本語版/英語) | よく出る場面と、問われる判断 |
|---|---|---|
| R1 | 統合プロジェクトマネジメント計画書を作成し、デリバリーを計画する(Develop an integrated project management plan and plan delivery) | 新しいプロジェクトの進め方を決める。→ 規模・複雑さ・不確かさから予測型・アジャイル・ハイブリッドを選び、計画どうしの矛盾や抜けを確かめる |
| R2 | プロジェクト・スコープの作成とマネジメント(Develop and manage project scope) | 範囲の合意が取れていない。→ スコープを定義して分解し、関係者の合意を得る(予測型はWBS、アジャイルはバックログ) |
| R3 | 価値ベースのデリバリーを確実に支援する(Help ensure value-based delivery) | 成果物はできそうだが、事業の効果が見えない。→ 価値の要素を関係者と特定し、価値で優先順位をつけ、段階的に届けて効果を測る |
| R4 | 資源の計画とマネジメント(Plan and manage resources) | 必要な専門家を他のプロジェクトと取り合っている。→ 要件から必要な資源を見積もり、空き状況に合わせて調整する |
| R5 | 調達の計画とマネジメント(Plan and manage procurement) | 業者の納期遅れや、契約形態の選び方。→ 契約形態を選び、交渉方針を決め、業者の成果を契約に照らして評価する |
| R6 | 財務の計画と管理(Plan and manage finance) | コストが予算を超えそう。→ 予備費を含めて資金を計画し、支出の差異を追い、ガバナンスの手順に乗せる |
| R7 | プロダクト/成果物の品質の計画と最適化(Plan and optimize quality of products/deliverables) | 不具合が続く。→ 品質要求を確かめ、品質コストとサステナビリティも考えて、継続的に改善する |
| R8 | スケジュールの計画と管理(Plan and manage schedule) | 遅れが出た。→ 進め方に合う方法で見積もり(ストーリーポイントを含む)、ベースラインとの差を分析して手を打つ |
| R9 | プロジェクトの状況を評価(Evaluate project status) | 報告の数字と現場の実感が合わない。→ 指標を決めて測り、作成物(アーティファクト)を最新に保ち、状況を伝える |
| R10 | プロジェクト終結のマネジメント(Manage project closure) | 成果物を運用チームに渡す直前。→ 完了の承認を得て、移管の準備を確かめ、教訓・調達・財務を締める |
R6(財務)は、旧版の「予算と資源」から財務の部分が独立したタスクです。R3(価値)は、旧版で2つの領域に分かれていた価値のタスクを1つにまとめたものです。どちらも「計画どおりに作ったか」より「投資に見合う価値が出ているか」を問います。
EVMなどの計算は、R6・R8・R9の場面で出ると考えられます。新形式のグラフィックベースでは、バーンダウンチャートやS字カーブを読む問題が候補です。
Business Environment(ビジネス環境)領域の8タスクは?
Business Environmentは全体の26%で、旧版の8%から3倍以上に増えました。プロジェクトを組織や社会の中に置き、ルール・変化・リスクに対応する力を問います。
| 番号 | タスク名(公式日本語版/英語) | よく出る場面と、問われる判断 |
|---|---|---|
| B1 | プロジェクト・ガバナンスの定義と確立(Define and establish project governance) | 誰が何を決めるかがあいまい。→ 組織のプロセス資産(OPA)を使って決め方を整え、成功の指標と、上に上げる経路・しきい値を決める |
| B2 | プロジェクトのコンプライアンスの計画とマネジメント(Plan and manage project compliance) | 新しい規制や社内規程への対応。→ 守るべき要件(セキュリティ・安全衛生・サステナビリティなど)を確かめ、違反したときの影響を分析して手を打つ |
| B3 | 変更のマネジメントとコントロール(Manage and control changes) | スポンサーが口頭で機能の追加を求めた。→ 決められた変更管理の手順に乗せ、承認された変更だけを反映し、文書を更新する |
| B4 | 障害を取り除き、課題をマネジメント(Remove impediments and manage issues) | チームの作業を止める障害がある、リスクが現実になった。→ 影響で優先順位をつけて取り除き、課題として関係者と解決する |
| B5 | リスクの計画とマネジメント(Plan and manage risk) | 新しいリスクに気づいた。→ 特定・分析してリスク登録簿に載せ、計画した対応を実行し、影響の状況を伝える |
| B6 | 継続的改善(Continuous improvement) | 同じ問題がくり返される。→ 教訓を生かして改善の仕組みを見直し、組織のプロセス資産(OPA)を更新する |
| B7 | 組織の変更をサポート(Support organizational change) | 合併や組織再編がプロジェクトに影響する。→ 組織の文化を見て、変化の影響を評価し、必要な対応を決める |
| B8 | 外部ビジネス環境の変化を評価(Evaluate external business environment changes) | 法改正・新技術・市場の変化が起きた。→ 変化を調べ、スコープやバックログへの影響を評価して優先順位をつける |
旧版でProcessにあった変更管理・課題・リスク・ガバナンスは、新版ではこの領域に入りました。障害の除去も、旧版のPeopleからここへ移りました。
Business Environmentの問題では、決まりと権限の範囲がかぎです。PMの権限で決められることか、ガバナンスのしきい値を超えて上に上げることかを見分けます。この判断はPMPのエスカレーションの考え方で詳しく扱っています。
旧版(2021年版)の35タスクは、新版のどこに移った?
旧版のECOは35タスク(People 14・Process 17・Business Environment 4)でした。新版は26タスクに減りましたが、範囲が狭くなったわけではありません。似たタスクがまとまり、いくつかは別の領域へ移りました。
下の表は、当サイトが新旧のタスク名とイネーブラーを照らし合わせて作った対応表です。PMIの公式な対応表ではありません。旧版の教材で学んだ内容が、新版のどこに当たるかの確認に使ってください。
| 旧版のタスク(2021年版) | 新版の主な行き先 | 変化 |
|---|---|---|
| People 1:Manage conflict(対立のマネジメント) | P2 | ほぼそのまま |
| People 2:Lead a team(チームを率いる) | P3(ビジョンの部分はP1) | まとめられた |
| People 3:Support team performance(チームの成果を支える) | P3 | まとめられた |
| People 4:Empower team members and stakeholders(権限を与える) | P3 | まとめられた |
| People 5:Ensure team members/stakeholders are adequately trained(研修) | 独立したタスクなし(近いのはR4・P3) | 吸収された |
| People 6:Build a team(チームをつくる) | R4・P7 | 一部がProcessへ |
| People 7:Address and remove impediments, obstacles, and blockers for the team(障害の除去) | B4 | Business Environmentへ |
| People 8:Negotiate project agreements(合意の交渉) | R5 | Processへ |
| People 9:Collaborate with stakeholders(関係者との協働) | P4 | まとめられた |
| People 10:Build shared understanding(共通理解) | P1・P5 | まとめられた |
| People 11:Engage and support virtual teams(バーチャルチーム) | 独立したタスクなし(近いのはP3・P8) | 吸収された |
| People 12:Define team ground rules(グランドルール) | P2 | まとめられた |
| People 13:Mentor relevant stakeholders(メンタリング) | P5 | まとめられた |
| People 14:Promote team performance through the application of emotional intelligence(EQ) | 独立したタスクなし(近いのはP3) | 吸収された |
| Process 1:Execute project with the urgency required to deliver business value(価値を届ける速さ) | R3 | まとめられた |
| Process 2:Manage communications(コミュニケーション) | P8 | Peopleへ |
| Process 3:Assess and manage risks(リスク) | B5 | Business Environmentへ |
| Process 4:Engage stakeholders(ステークホルダーの関与) | P4・P5 | Peopleへ |
| Process 5:Plan and manage budget and resources(予算と資源) | R6(財務)・R4(資源) | 2つに分かれた |
| Process 6:Plan and manage schedule(スケジュール) | R8 | ほぼそのまま |
| Process 7:Plan and manage quality of products/deliverables(品質) | R7 | ほぼそのまま(サステナビリティが加わった) |
| Process 8:Plan and manage scope(スコープ) | R2 | ほぼそのまま |
| Process 9:Integrate project planning activities(計画の統合) | R1 | まとめられた |
| Process 10:Manage project changes(変更) | B3 | Business Environmentへ |
| Process 11:Plan and manage procurement(調達) | R5 | ほぼそのまま |
| Process 12:Manage project artifacts(作成物) | R9 | まとめられた |
| Process 13:Determine appropriate project methodology/methods and practices(進め方の決定) | R1 | まとめられた |
| Process 14:Establish project governance structure(ガバナンス) | B1 | Business Environmentへ |
| Process 15:Manage project issues(課題) | B4 | Business Environmentへ |
| Process 16:Ensure knowledge transfer for project continuity(知識の移転) | P7 | Peopleへ |
| Process 17:Plan and manage project/phase closure or transitions(終結と移行) | R10 | ほぼそのまま |
| Business 1:Plan and manage project compliance(コンプライアンス) | B2 | ほぼそのまま |
| Business 2:Evaluate and deliver project benefits and value(ベネフィットと価値) | R3 | Processへ |
| Business 3:Evaluate and address external business environment changes for impact on scope(外部環境) | B8 | ほぼそのまま |
| Business 4:Support organizational change(組織の変革) | B7 | ほぼそのまま |
表から読み取れる大きな流れは3つです。1つめは、ルールと変化への対応がBusiness Environmentに集まったことです。ガバナンス・変更・課題・リスク・障害の除去が、ProcessやPeopleから移りました。
2つめは、人とのやりとりがPeopleに集まったことです。コミュニケーション、ステークホルダーの関与、知識の移転がProcessから移りました。3つめは、価値の扱いが1つのタスク(R3)にまとまり、予算から財務(R6)が独立したことです。
旧版で独立していたバーチャルチーム・研修・感情的知性(EQ)は、新版では独立したタスクではありません。ただし出題がなくなったとは言えません。チームを率いる場面(P3)などの一部として問われると考えておくのが安全です。
新版で初めて独立したタスクは、財務(R6)、共通のビジョン(P1)、顧客の期待(P6)、継続的改善(B6)です。旧版にも近いイネーブラーはありましたが、タスクとしての重みが増しました。
試験の形式は?180問・240分と新しい問題形式
ECOには、試験の形式も書かれています。主な数字は次のとおりです。
- 問題数:180問。採点される170問と、採点されない事前テスト問題10問。事前テスト問題はどれか分からず、試験の中にばらばらに置かれる
- 時間:240分(10分の休憩2回は含まない)。1問あたりの平均は約80秒
- 休憩:1回目はケーススタディの区画の後、2回目は残りの独立した問題のほぼ半ば。休憩に入ると、前の区画には戻れない
- チュートリアルとアンケート:どちらも任意で、240分には含まれない
- 受験方法:テストセンターでの受験か、監督付きのオンライン受験。日本で日本語のオンライン受験を選ぶと、監督はATAという会社が行う
| 形式 | どんな問題か | 出る受験方法 |
|---|---|---|
| ケースまたはシナリオ(新) | 会社やプロジェクトの長い説明(グラフや表を含むことがある)を読み、一連の問いに答える | すべて |
| グラフィックベース(新) | グラフ・図・画像を読み取って答える | すべて |
| 単一回答の選択問題 | 複数の選択肢から、正解の1つを選ぶ | すべて |
| 複数回答の選択問題 | 正解が2つ以上ある選択肢から選ぶ | すべて |
| マッチング | 2つの列の項目を組み合わせる | テストセンターのみ |
| 強化されたマッチング(Enhanced Matching) | 画像や図の上の決まった位置に項目をドラッグする | テストセンターのみ |
| ポイント・アンド・クリック | 画像の正しい場所をクリックする | テストセンターのみ |
| プルダウン・リスト | ドロップダウンの中から正解を選ぶ | テストセンターのみ |
ECOで「新」の印が付いているのは、ケースまたはシナリオと、グラフィックベースの2つです。どちらも、テストセンターとオンラインの両方で出ます。
形式ごと、進め方ごとの正確な問題数は、回によって変わりうるとECOに書かれています。特定の形式だけを集中して練習するより、どの形式でも同じ判断ができるようにしておくのが安全です。
ケースの区画で状況を読み違えると、続く問いをまとめて落とします。グラフィックベースの問題は、文章だけの問題集では練習しにくい形式です。どちらも本番前に一度は解いておきましょう。
旧版(2021年版)と比べて何が変わった?
新旧のECOを並べると、変わった点は次のとおりです。旧版の数字は2021年1月版のECOによります。
| 項目 | 旧版(2021年版) | 新版(2026年版) |
|---|---|---|
| 領域の比率 | People 42%・Process 50%・Business Environment 8% | People 33%・Process 41%・Business Environment 26% |
| タスク数 | 35(14・17・4) | 26(8・10・8) |
| 進め方の比率 | 予測型が約半分、アジャイル・ハイブリッドが約半分 | 予測型が約40%、アジャイル・ハイブリッドが約60% |
| 問題数 | 180問(採点175問+事前テスト5問) | 180問(採点170問+事前テスト10問) |
| 時間 | 230分 | 240分 |
| 休憩 | 10分×2回(60問目と120問目の後) | 10分×2回(ケースの区画の後と、独立した問題のほぼ半ば) |
| 新しい形式 | なし | ケースまたはシナリオ、グラフィックベース |
| 新しい傾向 | AI・サステナビリティの記載なし | AIとサステナビリティを分析の材料にしたと明記 |
| 経験を数える期間 | 申請前の8年以内 | 申請前の10年以内 |
| 学歴の区分 | 高卒・準学士など60か月/学士36か月/GAC認定24か月 | EQF・ISCEDの水準で4区分。60/48/36/24か月(準学士・専門課程などは48か月) |
| 35時間の研修 | 必要(有効なCAPMがあれば免除) | 必要(有効なCAPMがあれば免除)。2026年12月1日からライブ講座は提供元が限られる |
数字以上に大きいのは、問われる中身の重心です。PMIは新試験の案内で、成果・価値・ビジネスへの影響に重心を移したと説明しています。AI・サステナビリティ・ステークホルダーの関与も、問題の状況設定に加えました。
一方でPMIは、試験の中心となる原則と考え方は変わっていないとも説明しています。旧版の教材で学んだことは無駄になりません。足りないのは、Business Environmentの厚みと新形式の練習です。
受験資格の詳しい条件はPMPの受験資格で、変更点の要点だけを知りたい人はPMP試験の変更点まとめで確認できます。
AI・サステナビリティ・セキュリティはどこで問われる?
新しい論点は、独立したタスクにはなっていません。既存のタスクのイネーブラーに、例として書き込まれています。どこに出てくるかを表にまとめました。
| 論点 | ECOで出てくる場所 | 考えられる出方の例 |
|---|---|---|
| サステナビリティ(持続可能性) | R1(計画で決める重要な情報の例)、R7(品質コストと並べて管理する対象)、B2(コンプライアンス要件の例)、B5(リスク対応の例) | 新しい環境規制に合わせると、資材の変更でコストが上がる。どう判断するか |
| セキュリティ | B2(コンプライアンス要件の例)、B5(ITセキュリティの弱さをリスク登録簿に載せる例、セキュリティのリスク対応) | 委託先の情報管理が不十分だと分かった。次に何をするか |
| AI | タスク名にもイネーブラーにも出てこない。ECOの序文で、分析に取り入れた新しい傾向として挙がる | チームが生成AIツールを使い始めたが、品質や情報管理のルールが追いついていない |
PMIは、AIやサステナビリティを問題の状況設定に加えたと説明しています。問われるのはAIの専門知識ではなく、AIが関わる場面でのPMとしての判断です。
正解の方向は、ほかの問題と同じです。影響を分析し、関係者と相談し、決められたプロセス(変更管理・リスク対応・コンプライアンス)に乗せます。新しい道具だからといって、手順を飛ばして導入や禁止を即決する選択肢は外れやすくなります。
予測型40%・アジャイル+ハイブリッド60%はどういう意味?
ECOには、問題のおよそ40%が予測型、残りの約60%がアジャイル(適応型)とハイブリッドに分かれると書かれています。これは試験全体の比率です。領域やタスクごとの比率ではありません。
3つの進め方は、どの領域にも出ます。同じタスクでも、進め方によって正解の行動が変わります。代表的な例は次の表のとおりです。
| タスク | 予測型での正解の方向 | アジャイルでの正解の方向 |
|---|---|---|
| R2 スコープ | スコープ記述書とWBSで範囲を固め、関係者の合意を得る | 要求をプロダクト・バックログに並べ、プロダクトオーナーが優先順位を決める |
| R8 スケジュール | 依存関係からクリティカルパスを求め、ベースラインとの差を管理する | タイムボックスとベロシティから、何をいつ届けられるかを予測する |
| B3 変更 | 変更要求を出し、変更管理委員会(CCB)などの承認を経て反映する | 新しい要求はバックログに加え、プロダクトオーナーが並べ替える。スプリント中のゴールは守る |
| B5 リスク | リスク登録簿で定期的に見直し、計画した対応を実行する | スプリントの計画や振り返りで見直し、対応をバックログに入れる |
| P3 チーム | 役割と責任を明確にし、計画に沿って作業を割り当てる | 自己組織化を支え、障害を取り除くサーバント・リーダーとして振る舞う |
| R10 終結 | 成果物の受け入れと移管の後、教訓をまとめ、契約と財務を締める | リリースごとにレビューと振り返りをくり返し、最後に移管と終結の手続きをする |
問題を解くときは、まず問題文から「今どの進め方か」を判断します。スプリントやベロシティといった語があればアジャイル、ベースラインやWBSがあれば予測型の手がかりです。
両方の語が混ざっていれば、ハイブリッドの可能性が高くなります。たとえば設備の据え付けは予測型、制御ソフトはアジャイルで作る、といった状況です。どの部分の話を問われているかを読み分けてから、選択肢を比べてください。
本番で外れやすい選択肢には型がある?
あります。領域ごとに、外れやすい選択肢と正解になりやすい選択肢の型を当サイトでまとめました。問題に迷ったとき、選択肢をふるい落とす目安になります。
| 領域 | 外れやすい選択肢 | 正解になりやすい選択肢 |
|---|---|---|
| People | PMが一人で決めて命じる。対立する2人のどちらかを外す。最初から上位者に任せる | 当事者の話を聞いて原因を確かめ、チームが解決策を決められるよう支える |
| Process | 承認を得ずにベースラインや計画を書き換える。分析の前に対策を始める | 影響を分析して計画と照らし、決められた手順で対応する |
| Business Environment | 規制やガバナンスの決まりを現場の判断で省く。しきい値を超えた問題を自分だけで抱える | 要件としきい値を確かめ、必要なら決められた経路で上に上げる |
どの領域にも共通するのは、順番の誤りです。正しい行動でも、事実の確認や分析より先に来ると不正解になります。「次に何をするか」「最初に何をするか」という問いでは、選択肢の中身だけでなく順番を見てください。
タスク別に弱点を見つけるにはどうする?
本番のスコアレポートは、全体と領域ごとの評価です。タスクごとの成績は出ません。だからこそ、練習の段階でタスク単位の弱点をつかんでおく必要があります。
下の図は、模試でまちがえた問題をタスク別に数えた例です。数え方の手順は図の後に4つにまとめました。
- B5 リスク3
- B1 ガバナンス2
- R6 財務1
- R8 スケジュール1
- P2 コンフリクト1
- P5 期待の調整1
2問以上まちがえたB5とB1が弱点の候補。9問のうち5問がBusiness Environmentに集まっている。
当サイトが作った架空の例。3+2+1+1+1+1=9問。
- 模試を解いたら、まちがえた問題と迷った問題が26タスクのどれに当たるかを書き出す。
- タスクごとに数え、2問以上集まったタスクを弱点の候補にする。
- 弱点のタスクについて、「何を優先すべきだったか」を一文で言えるまで解説を読む。
- 同じタスクの問題を続けて解き、同じ判断ができるか確かめる。
上の例では、9問のうち5問がBusiness Environmentに集まっています。旧版の教材だけで学んだ人が落としやすい形です。この場合は、B5とB1の問題から先に解き直します。
当サイトのタスク別ドリルは、26タスクごとに問題を選んで解けます(全755問)。模試の結果画面でもタスク別の正答率を表示しているので、集計の手間が省けます。PMPという資格の全体像はPMP資格とはで解説しています。