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PMP STUDY GUIDEProcess(プロセス)の論点PMP

スケジュール管理の手順|作り方・遅れへの対応・アジャイルとの違い

スケジュール管理の手順を、PMPのProcessタスク8に沿って解説。予測型の作り方とベースライン、遅れが出たときの対応の順番、アジャイルのベロシティによる予測、過去データの使い方。確認問題3問つき。

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執筆
プロマネ模試 編集部
まず結論

この記事の要点

  • スケジュール管理は「決め方を決める → 作る → 承認して基準にする → 実績と比べて調整する」の繰り返しです。
  • 作り方は開発のアプローチで変わります。予測型は作業の順序と期間を決め、アジャイルはバックログとベロシティから見通しを立てます。
  • 遅れが出たら、まず原因と影響(クリティカルパス上か)を確かめます。計画の範囲で取り戻せなければ、変更要求に進みます。
  • 過去データやベンチマークは見積りの根拠になります。他のプロジェクトや運用部門との調整も、スケジュール管理の一部です。

スケジュール管理とは?何から決める?

スケジュール管理は、プロジェクトを期限までに終えるために、作業の時間の計画を立て、実績と比べて調整し続けることです。表を1回作って終わりではありません。

最初に決めるのは、スケジュールの「決め方」です。どの手法とツールで作るか、どの単位で管理するか、どれだけずれたら対応するかを、スケジュール・マネジメント計画にまとめます。

スケジュール・マネジメント計画で決めておくこと(例は当サイトの架空の例)
項目決めること例
作り方使う手法とツールクリティカルパス法と工程管理ツール/2週間のイテレーション
単位と精度期間を数える単位、見積りの丸め方日単位。半日未満は切り上げ
しきい値どれだけずれたら対応や報告をするかマイルストーンが5営業日以上遅れたら報告
測り方と報告進み具合の測り方、報告の頻度と形式週次で SPI と節目の予測日を報告
更新のルール誰が、どの手続きでスケジュールを変えるかベースラインの変更は変更管理委員会の承認

Process タスク8では何が求められる?

ECO 2026年版の Process タスク8は「スケジュールの計画と管理」です。イネーブラーには、次の内容が挙げられています(当サイトによる要約)。

  • 選んだ開発アプローチに合わせてスケジュールを準備する
  • 他のプロジェクトや運用と調整する
  • 作業を見積もる(マイルストーン・依存関係・ストーリーポイント)
  • ベンチマークと過去のデータを使う
  • スケジュールを作成し、ベースラインにする
  • スケジュール管理計画を実行し、差異を分析する

「選んだ開発アプローチに合わせて」とあるように、予測型・アジャイル・ハイブリッドで作り方が変わる点が出題の中心です。ECO によると、予測型の問題は約40%で、残りの約60%はアジャイルとハイブリッドの考え方にもとづく問題です。

旧版(2021年版)では、スケジュールは Process タスク6でした。2026年版では、スケジュールのベースライン化、スケジュール管理計画の実行、差異の分析が新たに明記されました。

予測型のスケジュールはどう作る?

予測型では、スコープを先に確定させ、その作業を時間に並べます。手順は次のとおりです。

予測型のスケジュール作成
  1. 1

    作業を定義する

    WBS の作業パッケージを、スケジュールの単位(アクティビティ)に分ける

  2. 2

    順序を決める

    依存関係(終了−開始など)とリード・ラグを決め、ネットワーク図にする

  3. 3

    期間を見積もる

    類推・パラメトリック・三点見積もりなどで期間を出す

  4. 4

    スケジュールを作る

    クリティカルパスを求め、資源の制約を調整する

  5. 5

    ベースラインにする

    関係者の承認を得て、比較の基準として固定する

  6. 6

    監視・管理する

    実績と比べ、差異を分析して対策をとる

当サイトの整理

承認されたスケジュールはスケジュール・ベースラインになり、以後は変更管理の手続きを通さないと変えられません。ベースラインの意味と変更の手続きは、ベースラインとは? で解説しています。

作ったスケジュールは、相手に合わせて見せ方を変えます。チームには、作業ごとの ガントチャート が向いています。スポンサーへの説明は節目だけのマイルストーン・チャート、依存関係の検討はネットワーク図が中心です。

遅れが出たらどう対応する?

差異の分析には、計画と実績の比較のほか、EVM の SV・SPI などを使います。遅れが見つかったときは、次の順番で考えます。

遅れが見つかったときの対応の順番
  1. 1

    事実と原因を確かめる

    どの作業が、なぜ、どれだけ遅れているかを担当者と確かめる

  2. 2

    影響を見る

    クリティカルパス上か、フロートの範囲に収まるかを確かめる

  3. 3

    計画の範囲で取り戻す

    資源の再配置、ファストトラッキング、クラッシングなどを検討する

  4. 4

    取り戻せなければ変更要求

    完了日やスコープの変更を、変更管理の手続きに乗せる

  5. 5

    報告して更新する

    関係者に伝え、承認された内容でスケジュールを更新する

当サイトの整理

フロートの範囲に収まる遅れなら、完了日には影響しません。ただし、フロートを使い切ると、その作業も新たにクリティカルになります。クリティカルパス上の遅れは完了日に直結するので、重点的に監視します。

アジャイルではリリース計画とイテレーションをどう作る?

アジャイルでは、最初にすべての作業を時間に並べることはしません。期間(イテレーション)を固定し、その中で価値の高い作業から進めます。スケジュールは、次の2つの層で考えるのが基本です。

  • リリース計画:数か月単位で、どの機能群をいつ頃届けるかの見通し。バックログの量とベロシティから予測する。
  • イテレーション計画:1〜4週間程度のイテレーションごとに、チームがこなせる量を選んで計画する。

POINT

ベロシティはチームごとの物差しです。チーム間で比べたり、目標として押し付けたりするものではありません。

ベロシティからリリース時期をどう予測する?

リリース時期は、残りのストーリーポイントをベロシティ(1イテレーションでこなせる量)で割って予測します。ベロシティは回ごとに揺れるので、幅でも示します。

ベロシティからリリース時期を予測する

必要なイテレーション数 = 残りのストーリーポイント ÷ ベロシティ(切り上げ)

  1. 1残りのバックログ = 240ポイント、平均ベロシティ = 30ポイント/イテレーション
  2. 2240 ÷ 30 = 8イテレーション
  3. 31イテレーション = 2週間 → 8 × 2 = 16週間
  4. 4ベロシティが25〜35で揺れる場合:240 ÷ 35 ≒ 6.9 → 7、240 ÷ 25 = 9.6 → 10
  5. 5→ 7〜10イテレーション = 14〜20週間

見通しは約16週間。幅で示すなら14〜20週間

当サイトの架空の例

アジャイルの予測は、イテレーションを重ねるごとに更新します。ベロシティの実績が安定するほど、見通しの幅は狭くなるのが一般的です。予測型とアジャイルを組み合わせる場合の計画の考え方は、ハイブリッド型の進め方 で扱っています。

過去データとベンチマークはどう使う?

見積りの根拠には、組織にたまった過去のデータや、業界のベンチマークを使います。似たプロジェクトの実績期間・単価・ベロシティなどです。根拠のある見積りは、関係者への説明にも使えます。

スケジュールの見積りに使うデータ(当サイトの整理)
データ使い方注意点
似たプロジェクトの実績期間類推見積もりの根拠規模・技術・チームの違いを補正する
作業単位あたりの所要時間パラメトリック見積もり単価の前提が今回も成り立つか確かめる
チームの過去のベロシティリリース時期の予測チームの構成が変わると使えない
業界のベンチマーク見積りの妥当性の確認自社の条件との違いを考える

新しいチームで過去のベロシティがない場合は、似たチームの実績を仮の値として使い、幅を持たせて示します。数回のイテレーションの後に、チーム自身の実績で置き換えます。

他のプロジェクトや運用との調整は?

プロジェクトは、組織の中で単独では動いていません。同じ人や設備を使う他のプロジェクト、システムを日々運用している部門、外部の業者の予定が、スケジュールに影響します。

  • 共有の資源:専門家や検証環境を他のプロジェクトと取り合う場合、プログラムやポートフォリオの管理者と優先順位を調整する。
  • 運用部門の予定:本番環境の変更は、運用部門の保守時間や繁忙期を避けて計画する。
  • 外部の依存関係:行政の許可や業者の納品など、自分では管理できない日程は、リスクとして監視する。

予定どおりにいかない場合に備え、特定済みのリスクにはスケジュールの予備(余裕)を持たせることもあります。予備の考え方は、コンティンジェンシー予備とマネジメント予備の違い で解説しています。

確認問題1

リリース時期の予測

(当サイトの独自問題)アジャイルのチームが、残りのバックログ180ポイントを抱えています。直近3回のイテレーションのベロシティは18・20・22ポイントで、1イテレーションは2週間です。プロダクトオーナーから、残りをすべて終えるまでの期間の見通しを聞かれました。最も適切な回答はどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:1。平均ベロシティは (18 + 20 + 22) ÷ 3 = 20ポイントです。180 ÷ 20 = 9イテレーションで、9 × 2週間 = 18週間になります。

2:イテレーション数を週数と取り違えています。3:最も低いベロシティ18で計算した値(180 ÷ 18 = 10 → 20週間)で、悲観側の見通しです。4:最も高いベロシティ22で計算し、端数を切り捨てた値(180 ÷ 22 ≒ 8.2 → 8イテレーション)です。端数が出たら切り上げます。

確認問題2

運用部門の予定とぶつかる

(当サイトの独自問題)予測型のスケジュールでは、来月の第3週に本番環境への切り替えを予定しています。ところが運用部門から、その週は年に1度の大規模な保守作業があると連絡がありました。本番環境は変更できないとのことです。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:4。他の部門の運用との調整は、スケジュール管理の一部です。運用部門と代わりの日程を調整し、クリティカルパスや完了日への影響を分析します。必要なら変更管理の手続きに進みます。

1:保守の週に切り替えを認めさせようとするのは、運用部門の事情と組織全体のリスクを無視しています。2:大規模な保守と重ねると、障害のリスクが高まります。3:影響の分析が後回しで、関係者への報告もしていません。

確認問題3

過去のベロシティがない

(当サイトの独自問題)新しく編成したアジャイルのチームで、まだ1回もイテレーションを終えていません。スポンサーは、来週の経営会議でリリースの時期を示してほしいと求めています。社内には、似た製品を作った別のチームの実績があります。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:3。過去のデータやベンチマークを使い、根拠のある見通しを幅で示します。数回のイテレーションの後、チーム自身の実績で更新することもあわせて伝えます。

1:情報がないことを理由に何も示さないのは、関係者の求めに応えていません。2:根拠のない約束になります。4:初回の量を約束しても、スポンサーが求めるリリース時期の見通しにはなりません。実績の無いまま最大の量を約束すると、見積りの水増しや品質の低下も招きます。

次に何をすればいい?

予測型ではクリティカルパスとフロート、アジャイルではベロシティとリリースの予測を、計算できるようにしておきます。そのうえで「アプローチに合った作り方を選ぶ」判断を、問題で練習してください。

スケジュールのタスクを集中的に練習したい人は、タスク別ドリルで Process タスク8を選んで解けます。

よくある質問

アジャイルにはスケジュール・ベースラインはないのですか?

予測型のような作業単位の詳細なベースラインは作らないのが一般的です。代わりに、リリースの目標時期やイテレーションの期間を固定し、ベロシティにもとづく予測を更新しながら管理します。

ベロシティが下がったら、どうすればよいですか?

まず原因(メンバーの不在、障害対応、見積りの基準の変化など)をチームと振り返ります。リリースの見通しを更新し、必要ならスコープの優先順位をプロダクトオーナーと見直します。

ハイブリッドではスケジュールをどう作りますか?

ハードウェアや契約など予測型が向く部分は、ガントチャートやマイルストーンで管理します。ソフトウェアなど変化の多い部分はイテレーションで進め、両者の接点(統合や検証の時期)をマイルストーンで合わせる方法がよく使われます。

出典・参考

  1. [1]PMI: PMP Examination Content Outline(2026年7月版。Process タスク8)
  2. [2]PMI: PMP Examination Content Outline(2021年1月版・旧版。Process タスク6)

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