いつから、何が変わった?(一覧表)
PMIは2026年7月9日から、新しい出題範囲(ECO 2026年版)にもとづく試験に切り替えました。PMIの新試験のページによると、この日以降の試験はすべて新試験です。申請した時期には関係ありません。
旧試験(2021年版ECO)は7月8日までで終わりました。旧版から変わった点を7つにまとめると、次のとおりです。PMPという資格そのものの概要は、PMP資格とはで説明しています。
| 項目 | 旧(2021年版) | 新(2026年版) |
|---|---|---|
| ① 領域の比率 | People 42%・Process 50%・Business 8% | People 33%・Process 41%・Business 26% |
| ② タスク数 | 35(14・17・4) | 26(8・10・8) |
| ③ 予測型の比率 | 約半分 | 約40%(アジャイル+ハイブリッドが約60%) |
| ④ 問題形式 | 単一選択・複数選択・マッチングなど | ケーススタディと図表問題が加わる |
| ⑤ 時間・事前テスト・休憩 | 230分。事前テスト5問。休憩は60問目と120問目の後 | 240分。事前テスト10問。1回目の休憩はケース区画の後 |
| ⑥ 新しい論点 | 明記なし | AI・サステナビリティ・情報セキュリティなどを明記 |
| ⑦ 受験資格・研修 | 経験は過去8年。学歴は3区分(高卒・大卒・GAC) | 経験は過去10年。学歴は4区分(48か月を新設)。12月から研修の規則も変更 |
問題数(180問)、休憩の長さ(10分×2回)、採点の方法、資格の更新の条件(3年で60PDU。PDUは1時間の学習などで1単位)は変わっていません。すでにPMPを持っている人は、新試験を受け直す必要はありません。
① 領域の比率はどう変わった?
一番大きな変化は、Business Environment(ビジネス環境)の比率が8%から26%に上がったことです。180問に当てはめると、およそ14問から47問に増える計算です。
その分、People(人)は42%から33%に、Process(プロセス)は50%から41%に下がりました。それでもProcessが最大の領域であることは変わりません。
旧(2021年版)
- 人People 42%(約76問)
- プロセスProcess 50%(約90問)
- ビジネス環境Business 8%(約14問)
新(2026年版)
- 人People 33%(約59問)
- プロセスProcess 41%(約74問)
- ビジネス環境Business 26%(約47問)
ビジネス環境が3倍以上に。ガバナンス・順守・変更管理・リスクの判断が重くなった。
② タスク数はなぜ35から26に減った?
タスクは、出題の単位になる「プロジェクト・マネジャーの責任」のことです。旧版は35タスク(People 14・Process 17・Business 4)でした。新版は26タスク(People 8・Process 10・Business 8)です。
減ったといっても、範囲が狭くなったわけではありません。細かく分かれていたタスクがまとめられ、領域を移ったものもあります。ガバナンス、変更管理、課題の管理、リスクの管理は、旧版ではProcessのタスクでした。新版では、障害の除去(旧版はPeople)とあわせてBusiness Environmentに入っています。
反対に、旧版でBusinessにあった「ベネフィットと価値の提供」は、新版ではProcessの「価値にもとづく提供」になりました。共通のビジョンづくり(People)、財務の計画と管理(Process)、継続的改善(Business)は、新たに独立したタスクです。26タスクの全体は新ECOの26タスク一覧で日本語訳つきでまとめています。
③ 予測型とアジャイルの比率はどう変わった?
旧版のECOでは、予測型の問題が約半分、アジャイルとハイブリッドが残りの半分でした。新版では、予測型が約40%、アジャイル(適応型)とハイブリッドを合わせて約60%です。
比率は領域ごとではなく、試験全体の話です。どの領域にも、予測型とアジャイルの両方の問題が混ざります。「Processは予測型、Peopleはアジャイル」のように分けて覚えるのは誤りです。
問題文の手がかりから、進め方を読み取る力が要ります。「スプリント」「プロダクト・オーナー」とあればアジャイル、「ベースライン」「変更管理委員会」とあれば予測型の場面です。
④ 新形式のケーススタディと図表問題とは?
ケーススタディ(Case or Scenario)は、長い状況説明を読み、続く複数の問いに答える形式です。説明にはグラフや表が付くことがあります。最初に状況を読み違えると、続く問いもまとめて外します。
図表問題(Graphic-Based)は、グラフ・図・画像を読み取って答える形式です。バーンダウンチャートの傾きから進み具合を判断する、リスクの表から優先度を読む、といった問いが考えられます。
どちらも、テストセンターとオンラインの両方で出ます。一方、マッチングやポイント&クリックなど4つの形式は、テストセンター受験だけで出るとECOに書かれています。形式ごとの中身はPMP試験の内容と出題形式で扱っています。
⑤ 試験時間・事前テスト・休憩はどう変わった?
問題数は180問のままで、試験時間は230分から240分になりました。採点されない事前テスト問題は5問から10問に増え、採点される問題は175問から170問になりました。どれが事前テストかは分かりません。
休憩は10分が2回で、回数と長さは同じです。変わったのは位置です。旧試験は60問目と120問目の後でした。新試験では、1回目はケーススタディの区画の後、2回目は残りの問題のおよそ半ばです。
日本でオンライン試験を運営するATAの案内では、1回目の休憩は40問目の後、2回目は110問目の後とされています。ただしECOは、形式ごとの問題数は回によって変わりうるとしています。どちらの試験でも、休憩に入るとそれより前の問題には戻れません。見直しは休憩の前に済ませます。
チュートリアルと試験後のアンケートは任意で、240分には含まれません。
⑥ AI・サステナビリティなど、どんな論点が増えた?
ECO 2026年版の冒頭には、新しく試験に取り入れた傾向が2つ挙がっています。AI(人工知能)とサステナビリティ(持続可能性)です。独立したタスクではなく、既存のタスクの中に織り込まれています。
たとえば、計画の段階で必要な情報を決めるとき(例:サステナビリティ)や、品質のコストを管理するときです。コンプライアンスの要件を確かめるとき(例:情報セキュリティ、安全衛生、規制)にも出てきます。リスク登録簿の例にも、ITセキュリティの弱さが挙がっています。
試験では「AIツールの導入でチームの作業が変わる」「新しい環境規制が出た」といった状況が考えられます。正解の方向はいつもと同じです。影響を分析し、関係者と相談し、決められたプロセス(変更管理やリスク対応)に乗せることです。
⑦ 受験資格と35時間研修はどう変わった?
経験を数える期間は、申請日からさかのぼって8年から10年に広がりました。必要な月数は、高卒60か月、大卒36か月、GAC認定課程(PMIが認定した大学などの課程)24か月で変わりません。新たに、短大・高専・専門課程などの水準(EQF 5/ISCED 5)に48か月の区分ができました。旧条件では、学士でない人は一律60か月でした。
学歴の区分は、欧州資格枠組み(EQF)と国際標準教育分類(ISCED)の水準で書かれるようになりました。学位の水準がはっきりしない場合は、監査で国の資格登録の記載や発行機関の証明などを出します。
35時間の研修では、2026年12月1日から、講師が教えるライブ講座の提供元が限られます。ATP(PMIの認定研修パートナー)や、認定を受けた大学などの課程です。オンデマンドの講座は提供元を問いません。12月1日より前に修了した研修は、今の要件のまま使えます。
旧版の教材で勉強している人は何をすればいい?
PMIは新試験のページで、旧教材で勉強中の人はそのまま続けてよいと案内しています。試験の原則と進め方は変わらないためです。サーバント・リーダーシップ、変更管理の手順、ステークホルダーとの関わり方などは新版でも使えます。足りない部分を足す、と考えてください。
- 26タスクの一覧で、旧教材では薄いBusiness Environmentの8タスクを先に補う。
- ケーススタディ形式の練習をする。長い状況文を読み、事実・制約・問題点をメモしてから問いに進む。
- 図表問題の練習をする。バーンダウン、S字カーブ、リスクのマトリクスなどの図を読み取る問題を解く。
- 240分・休憩2回の本番形式で、少なくとも1回は通しで解く。区画の後に戻れない時間配分に慣れる。
PMBOKガイドは第8版が出ています。ただしECOには、試験は特定の1冊だけにもとづいて作られていないと書かれています。第8版は用語の辞書として使えば十分です。違いはPMBOK第8版の変更点にまとめました。
今の自分がどこまで新試験に対応できているかは、問題を解くのが早いです。当サイトの無料模試30問は新ECOの比率どおりに作っており、領域ごとの評価を確かめられます。