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コンフリクトマネジメントの5つの対処法|PMP試験での正解の選び方

コンフリクトマネジメントとは、対立を建設的な解決に導くことです。5つの対処法(協力・妥協・鎮静・強制・撤退)の違いと呼び名の対応、状況別の選び方、PMPで正解になる判断を確認問題3問で解説。

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執筆
プロマネ模試 編集部
まず結論

この記事の要点

  • コンフリクトマネジメントとは、チームや関係者の対立を見つけ、原因を確かめて、当事者が納得できる解決に導くことです。
  • 対処法は協力(問題解決)・妥協・鎮静(適応)・強制・撤退(回避)の5つ。教材によって訳語が違うので、英語の名前との対応表で整理しました。
  • PMP で最も正解になりやすいのは協力です。ただし安全や法令が絡む緊急時は強制、感情が高ぶったときは一時的な撤退が正解になることもあります。
  • 新ECO では People タスク2に入り、グランドルールの順守と違反への対応も含みます。予防の仕組みはルールと役割の明確化です。

コンフリクトマネジメントとは?

コンフリクトマネジメントとは、チームや関係者の間の対立(コンフリクト)を見つけ、原因を確かめ、建設的な解決に導くことです。目的は対立をなくすことではありません。意見の違いを、より良い結論につなげることです。

対立を放置すると、決定の遅れ、手戻り、人間関係の悪化を招きます。小さいうちに表に出して扱うのが基本です。

PMP 試験では、試験内容の概要(ECO 2026)の People タスク2「対立をマネジメントする(Manage conflicts)」にあたります。イネーブラー(仕事の例)は次の6つです(当サイトによる要約)。

  • 対立の原因を特定する。
  • 対立の状況(背景)を分析する。
  • 合意した解決策を実行する。
  • 対立への向き合い方の原則を、チームと外部の関係者に伝える。
  • 共通のグランドルールを守る環境を作る。
  • グランドルール違反を扱い、正す。

旧版(2021年版)では「対立のマネジメント」と「グランドルールの設定」が別のタスクでした。新版ではひとつにまとまっています。

試験が見ているのは、対処法の名前の暗記ではありません。プロジェクト・マネジャー(PM)が原因を確かめ、当事者が合意できる解決に導けるかです。

プロジェクトで対立が起きる主な原因は?

プロジェクトの対立は、性格の不一致より、仕事の進め方から生まれることが多いです。代表的なものは次のとおりです。

  • スケジュール: 作業の順番や締め切りをめぐる食い違い。
  • 優先順位: どの要求や作業を先にするかの考えの違い。
  • 資源: 人や設備の取り合い。兼務のメンバーをめぐる部門間の対立。
  • 技術的な意見: 設計や手法の選び方の違い。
  • 役割と責任のあいまいさ: 誰が決めるのか、誰がやるのかが決まっていない。
  • コスト: 予算の配分や見積もりの差。
  • 人間関係・コミュニケーション: 情報が伝わらない、言い方が強い、など。

大きく分けると、利害(資源・予算・優先順位)、考え方(技術・進め方)、感情(言い方・不信感)の3つです。感情の対立は、利害や考え方の対立が長引いて生まれることもあります。表に見える感情だけでなく、根の原因まで確かめます。感情への気づきと扱い方は感情的知性(EI)の記事で解説しています。

原因によって、効く対処法は変わります。役割のあいまいさが原因なら、当事者を説得するより責任分担を決め直す方が根本的です。原因を見誤ると、話し合っても対立はぶり返します。

5つの対処法とは?協力・妥協・強制はどう違う?

PMP の学習では、対立への対処法を次の5つの呼び名で覚えるのが一般的です。

対立への5つの対処法(当サイトの整理。呼び名は教材によって異なる)
対処法やること結果向いている場面
協力/問題解決複数の視点を出し合い、根本の問題を一緒に解く全員が納得する(Win-Win)時間があり、関係が大事で、長く続く解決が要るとき
妥協/和解互いに一部をゆずり合うどちらも一部だけ満たされる力が拮抗し、ほどほどの解決で早く進めたいとき
鎮静/適応相違点より共通点を強調し、場を和らげる一時的に収まる関係を保ちたいとき、争点が小さいとき
強制/指示権限で一方の案に決める一方だけが満たされる(Win-Lose)緊急時、安全や法令に関わるとき
撤退/回避その場では扱わず、先送りする解決しない感情が高ぶって冷却が要るとき、自分の範囲外のとき

「常に最善」の対処法はありません。協力が理想でも、時間がまったくない場面や、法令違反が絡む場面では使えません。逆に、強制は関係を傷つけやすい手です。ふだんの意見の違いに使うと、不満が残ります。

協調・競争・服従…呼び名が違うのはなぜ?対応表

対処法は、自分の主張をどれだけ通すか(主張性)と、相手の要望にどれだけ応えるか(協力性)の2軸で整理されます。トーマスとキルマンが示した5つのモードが元になっていて、訳語が教材ごとに違います。

ビジネス書では「協調・競争・服従」、PMP の教材では「協力・強制・鎮静」のように呼び名が分かれます。英語の名前で対応をつかんでおくと、どの教材でも迷いません。

対処法の呼び名の対応(当サイトの整理。2軸の考え方はトーマスとキルマンによる)
この記事の呼び名英語(PMP の教材)英語(トーマスとキルマン)ほかの訳語主張性/協力性
協力/問題解決Collaborate / Problem solveCollaborating協調、協働高い/高い
妥協/和解Compromise / ReconcileCompromising妥協中くらい/中くらい
鎮静/適応Smooth / AccommodateAccommodating順応、服従、受容低い/高い
強制/指示Force / DirectCompeting競争、競合高い/低い
撤退/回避Withdraw / AvoidAvoiding回避低い/低い

試験の選択肢は、名前ではなく行動で書かれます。「双方の案の中間をとる」なら妥協、「権限で決める」なら強制、「その場では扱わない」なら撤退、と行動から読み取りましょう。

状況別にどの対処法を選ぶ?

対処法は、緊急度・関係の大切さ・争点の重さで選びます。次の図は、試験で迷ったときの目安です。

対処法を選ぶ目安(当サイトの整理)
  1. 1

    安全・法令に関わるか

    関わるなら、まず止める・決める(強制)。話し合いは後

  2. 2

    感情が高ぶっているか

    高ぶっているなら、いったん時間を置く(一時的な撤退)。放置はしない

  3. 3

    原因を確かめたか

    まだなら、当事者から個別に話を聞き、事実を集める

  4. 4

    一緒に解く時間があるか

    あるなら、当事者で根本の問題を解く(協力)

  5. 5

    時間がなく力が拮抗

    ゆずり合って決める(妥協)。後で見直す

基本は協力。制約があるときだけ、他の対処法を一時的に使う。

一時的な撤退と「放置」は違います。会議が感情的になったとき、休憩を入れて翌日に話し合うのは正当な手です。しかし対立をずっと扱わないと、問題は大きくなります。試験で「様子を見る」「当事者に任せて何もしない」が正解になることは、まれです。

PMP で正解になりやすい対処法はどれ?

当サイトでは、対立の状況問題を次の順で見ることをすすめています。

  1. 当事者どうしで解決を試みる機会があるかを見る。チームが自分たちで解けるなら、PM はその場を支える。
  2. PM が入るときは、個別に話を聞いて原因と状況を確かめる。
  3. 当事者を集めて、根本の問題を一緒に解く(協力)。
  4. チームや PM の権限で解けないとき、方針の判断が要るときに、スポンサーや機能部門のマネジャーに上げる。

よく出る誤りの選択肢は4つです。すぐにスポンサーへエスカレーションする。PM が一方的に決める。当事者の一人をチームから外す。問題を無視して作業を続けさせる。いずれも、最初の一手としてはほぼ正解になりません。

アジャイルでは、チームが自己組織的に対立を解くことが重視されます。PM やスクラムマスターは話し合いの場を整え、グランドルールに沿って進むよう支えます。リーダーとしての振る舞い全般はPMPのリーダーシップスタイルで扱っています。

対立を予防する仕組みは?

ECO は「対立への向き合い方の原則を伝える」ことも挙げています。起きてから処理するだけでなく、起きる前から扱い方を決めておくためです。予防には次の仕組みが効きます。

  • グランドルール: 意見の違いの扱い方を、チーム全員で決めておく(例:反対意見は会議中に出す、人ではなく案を批判する)。
  • 役割と責任の明確化: 誰が決めるかを先に決めておくと、決定権をめぐる対立が減る。
  • 共通のビジョン: 判断の物差しがそろうと、優先順位の争いを話し合いで解きやすい。詳しくはビジョン共有の記事へ。
  • 早めに表に出す文化: 小さな不満のうちに言える場(ふりかえりや1対1の面談)を作る。

対立そのものは悪ではありません。異なる意見がぶつかることで、より良い案が生まれることもあります。PM の役割は、対立を建設的な話し合いに変えることです。

対立の問題は People 領域でよく出ます。タスク別ドリルでまとめて解くと、判断が速くなります。

確認問題1

2人の技術者が設計で対立している

(当サイトの独自問題)予測型のプロジェクトで、2人のシニア技術者がデータベースの設計方針で対立しています。会議のたびに議論が平行線になり、設計の承認が1週間遅れています。締め切りまでには、まだ3週間の余裕があります。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:3。時間に余裕があり、2人とも今後の作業に欠かせません。協力(問題解決)が最も適します。まず個別に論点を確かめ、そのうえで根本の問題を一緒に解きます。

1:PM が一方に決める強制で、もう一人の納得が得られません。経験の長さも判断の根拠になりません。2:妥協は時間がないときの手で、技術的に最適とは限りません。4:設計はチームで判断できる範囲です。スポンサーに上げるのは早すぎます。

確認問題2

安全に関わる作業手順で意見が割れた

(当サイトの独自問題)工場の設備更新プロジェクトで、作業班のリーダーが「手順を省けば1日早く終わる」と主張し、安全担当者と言い争いになっています。省こうとしている手順は社内の安全規程で必須とされ、例外は認められていません。作業は今日の午後に始まる予定です。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:1。必須の安全規程に関わり、作業が目前に迫っています。PM が規程に沿って決める(強制)のが適切です。決めたうえで理由を説明し、関係の悪化を抑えます。

2:規程で必須の手順は、話し合いでゆずれるものではありません。時間もありません。3:分析と記録をしても、今日の作業の手順は決まりません。4:規程で答えが決まっており、PM がその場で判断できます。

確認問題3

同じ対立がくり返し起きている

(当サイトの独自問題)アジャイルチームで、テスト担当と開発者の間に「どの時点で作業を完了とみなすか」をめぐる言い争いが、スプリントのたびに起きています。プロジェクト・マネジャーはそのつど間に入り、その場は収まってきました。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:2。同じ対立がくり返されるのは、完了の基準があいまいだからです。チームで完了の定義(DoD)を見直して合意し、明文化すれば、原因そのものを取り除けます。

1:そのつど解いても、原因が残るので再発します。3:態度ではなく基準のあいまいさが原因なので、的外れです。4:担当を分けるのは対立の回避で、協働が要るチームでは逆効果です。

よくある質問

コンフリクトマネジメントの5つの対処法で、一番良いのはどれですか?

一般には協力(問題解決)が最も望ましいとされ、PMP でも正解になりやすいです。ただし安全や法令に関わる緊急時は強制、感情が高ぶっているときは一時的な撤退が適することもあります。

「協調」と「協力」は違う対処法ですか?

同じ対処法の訳語の違いです。英語の Collaborate(トーマスとキルマンでは Collaborating)を、教材によって協力・協調・問題解決などと訳しています。

妥協はなぜ「両者が負ける」と言われるのですか?

互いに一部をゆずるため、どちらの要望も完全には満たされないからです。早く決められる利点はありますが、根本の問題が残りやすいので、時間がないときの手と考えます。

PM はいつスポンサーにエスカレーションすべきですか?

当事者どうしや PM の権限では解けないとき、方針や予算などスポンサーの判断が要るときです。原因の確認や当事者との話し合いを飛ばして最初に上げるのは、試験では誤りになりやすいです。

出典・参考

  1. [1]PMI: PMP Examination Content Outline – July 2026(PDF)
  2. [2]PMI: PMP Examination Content Outline – January 2021(旧版・PDF)
  3. [3]Thomas, K. W. (1992). Conflict and conflict management: Reflections and update. Journal of Organizational Behavior
  4. [4]PMI: Project Management Professional (PMP)

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