PMPの問題は知識問題?それとも状況判断?
結論から言うと、PMPの問題の中心は状況判断です。用語の定義をそのまま問う問題は少なく、多くは「あるプロジェクトでこういうことが起きた。プロジェクト・マネジャー(PM)は次に何をすべきか」という形です。
PMIの試験内容の概要(ECO 2026)も、求めるのは概念と経験を仕事に当てはめる力だと説明しています。PMBOK®ガイドの文章を覚えていても、それだけでは正解を選べません。
たとえば「リスク登録簿とは何か」は、知っていて当然として扱われます。問われるのは、リスクが現実になったときに登録簿の対応策を実行するのか、まず上司に報告するのか、といった行動の順序です。
POINT
この記事の例題は、すべて当サイトが独自に作った問題です。PMIの公式サンプル問題や実際の試験問題ではありません。
出題形式は何種類ある?2026年版で何が増えた?
ECO 2026には、8種類の出題形式が載っています。このうちケース(Case or Scenario)と図表(Graphic-Based)の2つが新しい形式です。
| 形式 | どんな問題か | 受験方式 |
|---|---|---|
| 多肢選択(単一回答) | 複数の選択肢から正解を1つ選ぶ。基本の形式 | すべて |
| 複数回答 | 正解が2つ以上ある。「2つ選べ」などと指定される | すべて |
| ケース(新) | 長い状況説明(図やグラフを含むことがある)を読み、続けて複数の問いに答える | すべて |
| 図表(新) | グラフ・図・画像を読み取って答える | すべて |
| マッチング | 2つの列の項目を組み合わせる | テストセンター(CBT)のみ |
| 拡張マッチング | 図の決まった位置に項目をドラッグして配置する | CBTのみ |
| ポイント&クリック | 画像の正しい場所をクリックする | CBTのみ |
| プルダウン | 空欄にドロップダウンから語を選ぶ | CBTのみ |
ECOは、「CBTのみ」の形式と「すべての受験方式」で出る形式を分けています。オンライン受験を選ぶ人は、ケース・図表・多肢選択・複数回答の4つを中心に準備します。最新の形式は、PMIの案内で確かめてください。
形式ごとの解き方は、PMP試験の出題形式8種類で詳しく扱っています。
どの分野から、どんな割合で出る?
ECO 2026は、3つの領域の割合と、各領域のタスク(PMの仕事の単位)を示しています。
| 領域 | 割合 | タスク数 | 問われる場面の例 |
|---|---|---|---|
| People(人) | 33% | 8 | 対立、チームの指導、ステークホルダーの関与、コミュニケーション |
| Process(プロセス) | 41% | 10 | 計画、スコープ、スケジュール、調達、品質、進捗の評価、終結 |
| Business Environment(ビジネス環境) | 26% | 8 | ガバナンス、法令の順守、変更管理、リスク、外部環境の変化 |
進め方では、予測型の問題が約40%、アジャイルとハイブリッドが合わせて約60%です。どの進め方の問題も、3つの領域に混ざって出ます。
旧版(2021年版)は、People 42%・Process 50%・Business Environment 8%でした。新試験では、ビジネス環境の判断を問う問題の割合が大きく増えています。
状況問題はどんな手順で解けばいい?
状況問題は、読む順番を決めておくと速くなります。当サイトでは次の4段階をすすめています。
- 最後の一文(問い)を先に読む。「まず何をすべきか」「最も適切な対応は」「何を防げたか」で、選ぶ基準が変わります。
- アプローチを判断する。スプリント・バックログならアジャイル、ベースライン・変更管理委員会なら予測型です。
- 今どの段階かを特定する。計画中か、実行中か、問題が起きた直後か。段階によって正しい一手が違います。
- 選択肢を消していく。「正しいが今ではない」「PMの仕事ではない」「問題を放置する」ものを外し、残りから最も適切なものを選びます。
手順の詳しい説明と、手順を1問に当てはめた例題は、状況問題の解き方にまとめています。
本番はどれくらい難しい?1問あたり何秒?
難しさの正体は、知識の量よりも時間と集中力です。ECO 2026によると、試験は180問で、うち10問は採点されない試行問題です。試験時間は240分で、途中に10分の休憩が2回あります。
240分 ÷ 180問 = 約1.33分 = 約80秒
- 1240分を秒に直すと 240 × 60 = 14,400秒
- 214,400秒 ÷ 180問 = 80秒
- 3ケース問題は本文を読む時間が別にかかるので、短い問題では80秒より速く解く意識を持つ
1問あたり平均 約80秒
80秒は「問いを読む→状況を読む→4つの選択肢を比べる」でぎりぎりの時間です。
試行問題10問は、他の問題と区別がつかないように混ざっています。どの問題も同じように解くしかありません。
選択肢は、どれも「間違いではない」ように見えることがあります。その中から最も適切なものを選ぶのが、PMPの難しさです。
過去問はある?練習の問題はどこで解ける?
PMPの過去問は公開されていません。PMIのハンドブックによると、試験の問題はPMIの財産で、機密として扱われます。受験後に問題の中身を人に話すことも、申請時に同意した規約に反するおそれがあります。
そのため、練習には次のような問題を使います。
- 市販の問題集やオンラインの模試:新しいECO(2026年版)に合わせているかを確かめて選びます。
- PMIの案内する学習資料:ECO 2026も、PMI.orgの試験準備のページにある資料を確かめるよう案内しています。
- 「過去問」「本番の再現」をうたう問題:使わないほうが安全です。規約に触れるおそれがあるうえ、内容が正しい保証もありません。
過去問の代わりの練習法は、PMPの過去問は公開されていないで詳しく扱っています。
今の実力を知るには、次に何をすればいい?
確認問題1
メンバーが会議で発言しなくなった
(当サイトの独自問題)アジャイルで進めているチームの話である。ここ2回のレトロスペクティブ(ふりかえり)で、特定のメンバーがほとんど発言しなくなった。そのメンバーの作業の質は落ちていない。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
正解と解説を見る
正解:2。まず本人と直接話し、何が起きているのかを確かめます。原因が分からないまま対策を決めても、的外れになりやすいからです。ECO 2026では、PeopleのTask 3(チームを率いる)などに関わる場面です。
1:原因を確かめる前に、全員向けの決まりを作っています。3:本人と話す前に上位者に上げており、順序が逆です。4:問題の兆しを放置しています。PMPでは「様子を見る」は正解になりにくい選択肢です。
確認問題2
施行が決まった新しい規制への対応
(当サイトの独自問題)会員向けアプリをアジャイルで開発している。来年4月から、個人情報の保存に関する新しい規制が施行されると、法務部から連絡があった。今のバックログには、この規制への対応が含まれていない。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
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正解:4。外部の環境が変わったら、まず中身を確かめ、スコープやバックログへの影響を評価します。そのうえで、プロダクトオーナーが優先順位を付けます。ECO 2026では、Business EnvironmentのTask 8(外部のビジネス環境の変化を評価する)に当たる場面です。
1:影響を評価しないまま、対応を先送りしています。2:影響が分かる前に今のスプリントを止める、極端な行動です。3:アジャイルの進め方に、予測型の手順を当てはめています。
確認問題3
バーンダウンチャートの線が平らになった
(当サイトの独自問題)2週間のスプリントの6日目。バーンダウンチャートを見ると、残作業の線が3日間まったく下がっていない。デイリースタンドアップでは、メンバーは「作業は進めている」と言っている。プロジェクト・マネジャー(サーバントリーダー)がまず行うべきことはどれか。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
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正解:1。線が平らなのは、作業が「進行中」のまま完了にならない状態を示していることが多いです。まずチームと一緒に、障害や作業の分け方に原因がないかを確かめます。ECO 2026では、ProcessのTask 9(プロジェクトの状況を評価する)に当たる場面です。
2:原因を確かめる前に、ゴールを小さくする話を始めています。3:作業時間を増やす指示は、サーバントリーダーの行動ではありません。4:スプリントの中止は極端な行動で、判断するのはプロダクトオーナーです。