PMPに過去問がないのはなぜ?
PMP には、国家試験のように過去の問題を公開する仕組みがありません。理由は2つです。
1つ目は、試験問題が機密の資料だからです。PMI 認定資格ハンドブックは、試験問題や解答用紙を PMI だけの所有物とし、どんな理由があっても閲覧できないとしています。受験者は申請のときに PMI の規約に同意します。この規約は、試験後に問題について話し合うことも対象です。違反すれば、資格の取り消しや、PMI の試験を永久に受けられない処分もありえます。
2つ目は、問題を繰り返し使う仕組みだからです。ECO(2026年版)によると、180問のうち10問は採点されない試行問題です。将来使う問題が妥当かを確かめるために入っています。問題を公開すると、この仕組みが成り立ちません。
「過去問」と称する問題の危険は?
インターネット上には、「本番に出た問題」「再現問題」「的中問題」をうたう問題集が出回っています。英語では dump(ダンプ)と呼ばれるものです。当サイトは、こうした問題を使わないことを強くすすめます。
- 規約の問題:本番の問題を覚えて共有することは、PMI の規約が禁じる行為にあたりえます。ハンドブックは、試験の前に試験問題を入手することを、点数が無効になりうる不正の例に挙げています。
- 内容の問題:再現問題は記憶で書かれます。問題文の条件が抜けていたり、正解とされる選択肢が誤っていたりします。誤った判断の型を覚えてしまいます。
- 時期の問題:2026年7月9日から試験内容が変わりました。旧試験の問題の寄せ集めは、配分も形式も新試験と合いません。
「過去問」をうたう問題集はどう見分ける?
問題集や Web の問題を使う前に、宣伝文と運営者の情報を確かめます。次の特徴が1つでもあれば、使わないでください。
| こんな宣伝・特徴 | なぜ避けるか |
|---|---|
| 「本番に出た問題」「実際の試験問題」「再現」 | 本番の問題の共有は、規約が禁じる行為にあたりうる |
| 受験後に問題を集めた、という説明 | 記憶で書かれ、条件も正解も確かめようがない |
| 「合格率100%」「これだけで合格」 | PMI の ECO も、合格を保証する組織には注意するよう呼びかけている |
| 運営者・著者・更新日が書かれていない | 出どころも、新試験に対応しているかも分からない |
代わりに使える公式・非公式の問題は?
過去問の代わりになるのは、提供元がはっきりしていて、新しい ECO に合わせて独自に作られた問題です。主なものを整理します。
| 種類 | 中身 | 注意点 |
|---|---|---|
| PMI の Practice Exam(有料) | 本番形式の模試。商品ページの説明では、180問を時間の区切りごとに解き、3領域別の結果と解説が見られる。日本語版の商品ページあり | 内容と料金は購入前に PMI の公式ストアで要確認 |
| PMI Study Hall(有料) | 講義・問題・ミニ模試・180問の模試(2〜3回)・ケーススタディ | 英語で作られている。料金は要確認 |
| PMI のサンプル問題(無料の PDF) | 数問。英語 | 古い資料で、新試験の形式は含まない |
| ECO の問題形式の例(無料の PDF) | ケーススタディや図表問題などの画面の例 | 練習問題ではなく形式の説明 |
| 市販の問題集・Web の模試やドリル | 提供元による独自の問題 | 新 ECO 対応か、解説の質を確かめる |
公式の教材は、本番の問題を作る PMI 自身が用意している点で信頼できます。ただし数が限られ、英語のものもあります。市販や Web の独自問題は量を確保しやすい反面、質に差があるのが難点です。両方を組み合わせるのが現実的でしょう。本番の問題の形は、PMPの問題の形と例題3問で解説つきの例題を解いて確かめられます。
市販や Web の問題では、運営者や著者の名前、最終更新日、問題を独自に作っていることの説明を確かめてください。当サイトの無料模試30問も、新 ECO に合わせて独自に作った問題で、登録なしで解けます。無料で解ける問題の比べ方はPMPの無料模試まとめで整理しています。
本番に近い問題はどう見分ける?
過去問がないので、「本番に近いか」は問題の作りで判断します。次の5つを満たすほど、本番に近い練習になります。
- 状況を問う:用語の定義ではなく、「この状況でプロジェクト・マネジャーが次に何をすべきか」を問う
- 新 ECO の比率:People 33%・Process 41%・Business Environment 26%。予測型が約40%、アジャイルとハイブリッドが約60%
- 新しい形式:ケーススタディ、図表、複数選択、マッチング、プルダウンを含む
- 選択肢がどれもそれらしい:明らかな誤りばかりでなく、2つで迷う作りになっている
- 選択肢ごとの解説:正解の理由と、ほかの選択肢が違う理由が書かれている
特に4つ目は見落とされがちです。本番では、どの選択肢も「間違いではない」行動であることが多く、その中から「この状況で最も適切なもの」を選ばせます。誤りがすぐ分かる問題で高得点を取っても、本番の力にはつながりません。
次の確認問題1は、この条件に沿って当サイトが作った例です。4つの選択肢がどれも PMI らしい言い回しで、時機や手順の誤りで正誤が分かれます。
確認問題1
契約で固定された仕様に変更を求められた
(当サイトの独自問題)ハイブリッド型のプロジェクトで、装置のハードウェアは予測型、ソフトウェアはスプリントで開発している。ハードウェアの仕様は契約で固定され、変更には変更管理委員会の承認が要る決まりだ。スプリント・レビューで、顧客の担当者がハードウェアの仕様の変更を求めた。変更すると納期と費用に影響が出そうだ。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
正解と解説を見る
正解:2。変更管理委員会の承認が要る、契約で固定された仕様への変更です。まず納期・費用・契約への影響を分析し、決められた手順で変更要求として出します。アジャイルで進める部分があっても、予測型で管理している範囲の変更は、その範囲のルールに従います。
1:ソフトウェアの要望ならバックログで扱えますが、これは承認が要るハードウェアの仕様です。手順を飛ばして作業に入れてしまいます。3:影響が分からないうちに判断を求めるのは、順番が逆です。決められた手順も飛ばしています。4:影響も調べずに断るのは早すぎです。顧客には変更を求める権利があります。
POINT
ECO(2026年版)の Business Environment のタスク「変更をマネジメント・コントロールする」にあたる問題です。前の節の5条件のうち、形式(ケーススタディなど)を除く4つを満たすように作っています。
過去問の代わりに何問くらい解けばいい?
過去問を何年分、という数え方はできません。そこで、タスク別の演習と本番形式の模試で量を決めます。
目安は、26タスクの演習を1周(1タスク25問前後)と、本番形式の模試を2〜4回です。合計で1,000〜1,400問ほどになります。働きながら3か月で準備する場合の内訳と、当サイトで解ける問題数を並べます。
| 演習 | すすめる量 | 当サイトの収録数 |
|---|---|---|
| 腕試し | 勉強の始めと途中に30問ほど | 無料模試30問 |
| タスク別の演習 | 26タスクを1周。1タスク25問前後 | タスク別ドリル755問(26タスク) |
| 本番形式の模試 | 180問を2〜4回、通しで解く | 180問×4回(720問) |
大切なのは、問題数より、1問ごとに選択肢の理由を確かめたかです。同じ数を解いても、解きっぱなしでは判断のずれが残ります。
量が足りないと感じたら、新しい問題を足す前に、間違えた問題と迷った問題を解き直してください。2周目は、1周目に誤答が多かったタスクだけに絞って構いません。
過去問がない試験はどう勉強を進める?
過去問で出題の傾向をつかむ勉強法は使えません。代わりに、出題範囲そのもの(ECO)を軸に勉強します。
- 1
ECO で範囲を確認
26タスクと、各タスクの行動の例を読む
- 2
タスク別に解く
1タスク25問前後の独自問題を解く
- 3
理由を確かめる
選択肢ごとに、なぜ正しい・違うかを書く
- 4
知識を補う
分からなかった用語を研修資料や PMBOK ガイドで調べる
- 5
模試で確かめる
本番形式で解き、弱いタスクを見つける
弱いタスクに戻る
当サイトの整理
ECO には、各タスクの具体的な行動の例(Enablers)が書かれています。たとえば People のタスク「対立をマネジメントする」には、対立の原因を見つける、状況を分析する、合意した解決策を実行する、といった行動が並びます。
間違えた問題は、そのタスクの行動の例と照らし合わせます。「何を問われていたのか」が見えてきます。
PMBOK ガイドの使い方はPMBOKは読むべきかで、英語の教材との付き合い方はPMPを英語で勉強するべきかで説明しています。