図表問題とはどんな問題?
ECO 2026は、図表問題(Graphic-Based Questions)を新しい出題形式として説明しています。チャート・グラフ・図・画像などの視覚的な情報を読み取り、その情報をもとに答える問題です。オンライン受験を含む、すべての受験方式で出ます。
問われ方は大きく2つです。1つは、図から値や状態を読み取る問い(例:クリティカルパスは何日か)。もう1つは、読み取った状況でPMが何をすべきかを選ぶ問いです。後者では、図を読めても、行動の選び方は状況問題と同じ原則で決まります。
図はケース問題の本文に付くこともあります。ECOは、ケースの状況説明にグラフやチャートが含まれることがあると書いています。ケースの解き方はケーススタディ問題の解き方にまとめました。
どんな図が何問出るかは、公表されていません。この記事の10種は、プロジェクトの管理でよく使われ、状況問題の判断にもつながる図を当サイトが選んだものです。
押さえておきたい図10種は?
10種の図と、まず見る所をまとめました。
| 図 | 何を表すか | まず見る所 |
|---|---|---|
| バーンダウンチャート | 残作業の減り方 | 理想線より上か下か、平らな所 |
| バーンアップチャート | 完了した作業と全体の量 | 全体の線(スコープ)が増えていないか |
| 累積フロー図・カンバン | 作業の状態ごとの量 | 帯が太り続ける所(滞留) |
| ガントチャート | 作業の期間と並び | 遅れている作業、マイルストーン |
| ネットワーク図 | 作業の順序と依存関係 | 最長の経路(クリティカルパス) |
| S字カーブ(EVM) | 計画価値・出来高・実コスト | 3本の線の上下関係 |
| 確率・影響度マトリクス | リスクの優先度 | 右上(確率も影響も大) |
| 管理図 | 工程が安定しているか | 管理限界の外、同じ側に続く点 |
| パレート図 | 原因ごとの件数の大きい順 | 左から数本で全体の大半を占めるか |
| ステークホルダー関与度評価マトリクス | 現在と望ましい関与度 | 現在(C)と望ましい(D)のずれ |
このほか、資源ヒストグラムや権力・関心度グリッドも、図で出されても読めるようにしておくと安心です。資源ヒストグラムは、期間ごとに必要な人数と、使える人数の上限を比べる図です。
バーンダウンとバーンアップはどう読む?
バーンダウンは、縦軸が残作業、横軸が日付です。理想線(右下がりの直線)より実績が上にあれば遅れ、下にあれば先行していることを表します。線が数日平らなら、作業が完了にならず止まっているサインです。
バーンアップは、完了した作業が右上がりに積み上がり、別の線で全体の量(スコープ)を示します。全体の線が途中で上がっていれば、スコープが増えたことがわかります。バーンダウンでは、スコープの増加と進捗の遅れの区別がつきにくいので、この違いは押さえておきたい点です。
どちらも、遅れを見つけたら、まずチームと原因を確かめるのが正しい行動です。図を読むこと自体がゴールではなく、読み取った後の判断が問われます。
累積フロー図とS字カーブ(EVM)はどう読む?
累積フロー図は、作業の状態(未着手・作業中・完了など)ごとの量を、帯の重なりで表します。ある帯だけが太り続けるなら、その工程で作業が滞っています。仕掛かり作業(WIP)の上限を設けたり、詰まった工程を手伝ったりするのが打ち手です。
S字カーブは、EVMの3本の線を時間に沿って描いた図です。出来高(EV)が計画価値(PV)より下なら遅れ、実コスト(AC)が出来高より上ならコスト超過を表します。線の名前と単位(金額か作業量か)を、先に確かめます。
ガントチャートとネットワーク図はどう読む?
ガントチャートは、横棒で作業の期間を表します。今日の線より左にあるのに完了していない棒が、遅れている作業です。ひし形の記号はマイルストーンです。書き方はガントチャートとはで説明しています。
ネットワーク図は、作業を箱、依存関係を矢印で表します。始まりから終わりまでの経路のうち、所要日数の合計が最も長い経路がクリティカルパスです。クリティカルパス上の作業が遅れると、プロジェクト全体が遅れます。それ以外の作業には、遅れても全体に響かない余裕(フロート)があります。
経路の日数 = 経路上の作業日数の合計。最長の経路がクリティカルパス
- 1作業:A 3日、B 4日、C 6日、D 2日。Aの後にBとCを並行し、BとCが終わってからD
- 2経路1:A→B→D = 3+4+2 = 9日
- 3経路2:A→C→D = 3+6+2 = 11日
- 4最長は経路2なので、クリティカルパスはA→C→D(11日)
- 5Bのフロート = 11 − 9 = 2日
プロジェクト全体は11日。Bは2日まで遅れても全体に響かない
リスクのマトリクスと管理図はどう読む?
確率・影響度マトリクスは、縦軸と横軸に発生確率と影響の大きさをとり、リスクを配置した図です。右上ほど優先度が高く、詳しい分析や対応策が要ります。左下の低いリスクは、監視リストに載せて見守る扱いになります。
管理図は、工程の測定値を時系列に並べ、中心線と上下の管理限界を引いた図です。点が管理限界の外に出たら、工程に特別な原因があるサインです。限界の内側でも、中心線の同じ側に点が続けて並ぶときは、偶然ではない変化を疑います。何点続いたら疑うかには目安がいくつかあり、7点がよく使われます。
管理限界は、工程のばらつきから計算した線です(一般に平均±3σ)。顧客が求める仕様限界とは別物です。仕様の範囲内でも、管理限界の外に出れば工程の異常を疑います。
ステークホルダーの関与度マトリクスはどう読む?
ステークホルダー関与度評価マトリクスは、行にステークホルダー、列に関与の度合いを並べた表です。関与の度合いは、不認識・抵抗・中立・支援・指導などで表します。各人の現在(C)と望ましい状態(D)を書き込みます。
読む所は、CとDのずれです。CとDが同じ欄にあれば対応は不要、離れていれば関与を高める働きかけが必要です。ずれが大きく、しかも影響力の大きい人から優先して手を打ちます。権力・関心度グリッドと組み合わせて問われることもあります。関与を高める計画の立て方はステークホルダー・エンゲージメントの解説で扱っています。
図表問題で時間を使いすぎないには?
図表問題は、図を隅々まで読もうとすると時間がかかります。1問あたりの平均は約80秒(240分÷180問)です。次の順で読むと速くなります。
- 問いを先に読む。何を読み取ればよいかを決めます。
- タイトルと軸・単位を見る。日数なのかポイントなのか、累計なのか日ごとなのかを確かめます。
- 基準線を見つける。理想線、計画、中心線、管理限界などです。
- 外れている所を探す。基準からのずれが、問いの答えにつながります。
計算が必要な図(EVMのS字カーブ、ネットワーク図)は、式を覚えていれば数十秒で解けます。式を忘れていると大きく時間を失うので、直前期に確かめておきます。図を読む力は、AIが出した分析結果を確かめる場面でも役立ちます。本番に近い形で練習するなら、無料模試30問が使えます。
確認問題1
バーンダウンチャートの遅れ
(当サイトの独自問題)10日間のスプリントで、計画した作業は40ポイント。5日目の終わりのバーンダウンチャートでは、残作業は32ポイントで、理想線の20ポイントを大きく上回っている。デイリースタンドアップでは、障害の報告は出ていない。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
正解と解説を見る
正解:2。半分の日数で残作業が8ポイントしか減っておらず、理想線から12ポイント遅れています。障害の報告がなくても、見えていない問題があるかもしれません。まずチームと、原因とスプリントのゴールへの影響を確かめます。ゴールに響くなら、そのうえでプロダクトオーナーと範囲を相談します。
1:原因を確かめる前に、範囲を減らす話に進んでいます。3:スプリントが終わるまで待つと、手を打てる時間がなくなります。4:説明する時機が遅く、遅れへの手当てもしていません。
確認問題2
管理図の点の並び
(当サイトの独自問題)部品の寸法を測った管理図で、直近の8点はすべて管理限界の内側にあるが、8点とも中心線より上に並んでいる。仕様限界から外れた部品もない。プロジェクト・マネジャーが行うべきことはどれか。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
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正解:3。管理限界の内側でも、同じ側に点が続けて並ぶのは、偶然ではない変化のサインです。材料・設備・作業方法などに変化がないか、原因を調べます。
1:点の並び方のサインを見落としています。2:外れた部品はまだなく、検査を増やしても工程の変化の原因はわかりません。4:限界の線を引き直しても、工程の変化は残ります。
確認問題3
ネットワーク図とフロート
(当サイトの独自問題)上のネットワーク図の例(A 3日、B 4日、C 6日、D 2日。Aの後にBとCを並行し、両方が終わってからD)で、作業Bが2日遅れることがわかった。プロジェクト全体への影響として正しいものはどれか。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
正解と解説を見る
正解:1。Bのフロートは2日です。2日遅れるとA→B→Dは11日になり、A→C→Dと同じ長さになります。全体は11日のままですが、Bにはもう余裕がなく、これ以上遅れると全体が遅れます。
2:フロートの範囲内なので、全体は遅れません。3:A→C→Dも11日のままなので、2つの経路がどちらもクリティカルになります。4:Cの経路は11日のままで、Cの余裕は0日です。