新しいECOでAIが加わったのはなぜ?
ECO 2026の冒頭は、AIやサステナビリティといった新しい流れに触れています。これまでPMP試験で扱っていなかった流れが、専門職の仕事に影響しているという説明です。PMIはこれらの流れを職務分析(JTA)の材料にし、試験のタスクとの関係を確かめたと説明しています。
一方で、26のタスクと、その例として挙げられた行動(イネーブラー)の文には、AIという語は出てきません。サステナビリティは、計画・品質・順守・リスクの例として何度か書かれていますが、AIは明示されていません。
このため当サイトでは、AIに関わる問題は既存のタスクの場面の中で出ると考えています。たとえば次のようなタスクです。
| 領域とタスク | AIとの関わり方の例 |
|---|---|
| Process Task 1:計画とデータにもとづく判断 | AIでデータを分析し、判断の材料にする |
| Process Task 9:プロジェクトの状況の評価 | 進捗データの集計や報告の下書きにAIを使う |
| Business Task 2:順守の計画と管理 | セキュリティや規制の要求を満たしてAIを使う |
| Business Task 5:リスクの計画と管理 | 情報の漏えいやAIの誤りをリスクとして扱う |
| Business Task 8:外部のビジネス環境の変化 | AIなど技術の変化がスコープに与える影響を評価する |
AIの活用が正解になるのはどんな場面?
AIを使う選択肢が正解になりやすいのは、人の判断を助ける作業に使う場面です。
- 大量の進捗データや課題ログを集計し、傾向を見つける。
- 過去のプロジェクトのデータから、見積もりの参考値を出す(最後は人が確かめる)。
- 進捗やリスクのデータから、遅れの予兆を早めに見つける(チームと事実を確かめる)。
- 会議の記録や報告書の下書きを作り、PMやチームが確認して仕上げる。
- 多言語のチームで、翻訳を補助に使う(重要な合意は人が確かめる)。
- 繰り返しの事務作業を減らし、チームが価値の高い仕事に時間を使えるようにする。
共通するのは、AIの出力をそのまま使わず、人が確かめてから使うことです。AIの出した数字や文には、誤りが含まれることがあります。確認の手順を決めておくのは、品質の考え方にもかないます。
AIに任せてはいけない判断は?
PMPの考え方では、プロジェクトの判断と、その結果への責任は人にあります。次のような判断をAIに丸ごと任せる選択肢は、誤りになりやすいです。
AIで補助してよい
- 分析データの集計・傾向の分析
- 文書文書や報告の下書き
- 見積もり見積もりの参考値
- 検討選択肢の洗い出し
人が判断・責任を持つ
- 分析優先順位と意思決定
- 文書人の評価・配置・処遇
- 見積もり倫理・順守に関わる判断
- 検討ステークホルダーとの合意
当サイトの整理。組織の規程によって使える範囲は変わります。
特に人に関わる判断(評価・配置・処遇)は、AIの結果だけで決めると、公正さや説明責任の問題が出ます。AIを使う場合も、結果を人が確かめ、本人と話す手順を省かないのが正しい行動です。
データ・セキュリティ・倫理の論点は?
AIの問題で特に大事なのは、組織の規程と順守を確かめてから使うという点です。ECO 2026のBusiness Environment Task 2には、順守の要求を確かめる行動があります。例に挙がっているのは、セキュリティ・安全衛生・サステナビリティ・規制などです。Task 5は、リスク登録簿の例として「ITセキュリティの不備」を挙げています。
- 機密情報:顧客情報や社外秘の資料を、組織が認めていない外部のAIサービスに入力しない。
- 規程の確認:AIの利用に関する組織の方針や、契約の条件を確かめてから使う。方針がなければ、ガバナンスの中で決めてもらう。
- 偏りと誤り:AIの結果に偏りや誤りがないかを確かめる。特に人に関わる判断では慎重に扱う。
- 透明性:AIを使って作った資料や分析であることを、必要に応じて関係者に伝える。
これらは、PMIの倫理・職業行動規範の「責任」「誠実」の考え方とも重なります。倫理の考え方は倫理問題の解き方で扱っています。
AIの問題でよくある誤答は?
AIが出てくる問題では、誤答にも型があります。当サイトの整理では、次の6つです。
| 誤答の型 | 選択肢の例 | なぜ誤りか |
|---|---|---|
| うのみにする | AIの見積もりを、そのまま予算にする | 元のデータと前提を確かめていない |
| 全面的に禁止する | リスクがあるので、AIの利用を一切やめる | 規程の範囲で使える機会を閉ざしている |
| 規程の確認を飛ばす | 便利なので、すぐに外部のAIサービスを使う | 機密・契約・セキュリティを確かめていない |
| 判断を丸投げする | AIの評価結果で、メンバーの配置を決める | 人に関わる判断の責任を、人が持っていない |
| 技術に走る | PMが自分でAIの設定を直し、精度を上げる | PMの役割は判断と調整。原因の確認や専門家への相談が先 |
| 黙って使う | AIで作った分析を、そのことを伝えずに報告する | 透明性がなく、関係者の信頼を損なう |
正解の多くは、「確かめてから、人が判断して使う」選択肢です。禁止と丸投げの両極端は外します。
AIの問題はどう出題され、どう考える?
当サイトでは、AIの問題は次のような場面で出ると考えています。どれも、AIの知識よりPMとしての判断が問われます。
- メンバーがAIを使いたいと言ってきた:禁止も黙認もせず、組織の方針と情報の扱いを確かめてから、使い方を決める。
- AIの見積もりや分析が実態と合わない:AIの結果をうのみにせず、元のデータと前提を確かめる。
- AIが遅れやリスクの予兆を示した:無視も過信もせず、チームと事実を確かめる。必要ならリスク登録簿に加えて対応を決める。
- AIの導入で業務が変わる部門がある:組織変革として影響を評価し、関係者と話して支援する(組織変革マネジメントの解説)。
- 市場でAIの技術が急に変わった:外部環境の変化として、スコープやバックログへの影響を評価する。
AIの分析結果は、グラフで示されることもあります。図の読み方は図表問題の読み方を参考にしてください。AIの導入を目的とするプロジェクトなら、目的や前提はプロジェクト憲章で確かめます(プロジェクト憲章の解説)。新しい論点も含めて実際の問題で試すなら、無料模試30問が使えます。
確認問題1
メンバーが生成AIを使いたいと言ってきた
(当サイトの独自問題)あるメンバーから、顧客との打ち合わせの記録を、外部の生成AIサービスで要約したいと相談があった。報告の作業を減らすためだという。記録には、顧客の未公開の情報が含まれている。プロジェクト・マネジャーがまず行うべきことはどれか。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
正解と解説を見る
正解:3。機密情報を外部のサービスに入れる前に、組織の方針と契約の条件を確かめるのが先です。ECO 2026のBusiness Environment Task 2が挙げる、順守の要求を確かめる行動にあたります。
1:顧客の了承を得る前に、組織の方針と契約で許されるかを確かめる必要があります。2:機密情報の扱いは、チームだけで決められることではありません。4:リスクを記録しただけで、使ってよいかを確かめずに使わせています。
確認問題2
AIの見積もりが過去の実績と合わない
(当サイトの独自問題)組織が導入したAIツールで、次のフェーズの作業量を見積もった。すると、過去の似たプロジェクトの実績より4割少ない値が出た。スポンサーは、この見積もりをもとに予算を決めたいと言っている。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
正解と解説を見る
正解:4。4割もの差があるときは、AIの結果をうのみにせず、使われたデータと前提を確かめます。差の理由がわかれば、根拠のある見積もりをスポンサーに示せます。
1:確かめずに採用し、判断をスポンサーに任せています。2:AIの結果に役立つ情報があるかもしれないのに、検討せずに捨てています。3:差の理由を確かめないまま、数字を機械的に組み合わせる形です。
確認問題3
AIの導入で仕事が変わる部門
(当サイトの独自問題)問い合わせ対応に、AIの自動応答を導入するプロジェクトがある。コールセンターの担当者から「自分たちの仕事がなくなるのではないか」という不安の声が上がった。要件の打ち合わせにも、協力が得られなくなっている。プロジェクト・マネジャーが行うべきことはどれか。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
正解と解説を見る
正解:1。AIの導入は、組織の変化を伴います。ECO 2026のBusiness Environment Task 7は、組織変革の支援です。組織の変化がプロジェクトに与える影響を評価し、必要な行動を決めます。まず不安の中身を聞き、役割の変化や研修などの支援を関係部門と考えます。
2:話を聞く前に、管理者を通して動かそうとしています。3:一方的な説明で、相手の不安の中身を聞いていません。4:記録はしていますが、協力が得られない問題に手を打たないままです。