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動機づけ理論をPMP向けに整理|マズロー・ハーズバーグ・マグレガーほか

PMPで出る動機づけ理論(マズロー、ハーズバーグ、マグレガー、マクレランド、ブルーム、内発的動機づけ)を1枚の比較表で整理。チームの士気が下がったときの判断の手順を、確認問題3問で確かめます。

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執筆
プロマネ模試 編集部
まず結論

この記事の要点

  • マズローは欲求の段階、ハーズバーグは不満を防ぐ要因とやる気を生む要因の区別、マグレガーは管理者の人間観(X理論・Y理論)を示しました。
  • ハーズバーグの理論では、給与や職場環境は「衛生要因」です。整えると不満は減りますが、それだけではやる気は生まれにくいとされます。
  • 期待理論では、努力すれば成果が出る・成果が報われる・その報酬に価値がある、の3つがそろうとやる気が高まります。
  • 士気が下がったときの PMP の正解は、まず原因を聞くことです。理由を確かめずにボーナスや叱責に頼る選択肢は、誤りになりやすいです。

動機づけ理論とは?主な理論を1枚で比較

動機づけ理論は、人がなぜ、どうやって仕事への意欲を持つのかを説明する理論です。PMP の学習でよく出る理論を、まず1枚の表で比べます。

PMP の学習でよく出る動機づけ理論(当サイトの整理)
理論提唱者要点PM への示唆
欲求段階説マズロー(1943年)欲求には段階があり、下の欲求が満たされると上の欲求が強まるメンバーが今どの欲求を重視しているかを見る
二要因理論ハーズバーグ(1959年)不満を防ぐ衛生要因と、やる気を生む動機づけ要因は別物環境を整えるだけでなく、達成や承認の機会を作る
X理論・Y理論マグレガー(1960年)人を怠け者と見るか(X)、自ら働く存在と見るか(Y)で管理が変わるY理論に立ち、任せて責任を持たせる
欲求理論マクレランド(1961年ほか)達成・権力・親和のどの欲求が強いかは、人によって違う欲求の強さに合った役割を任せる
期待理論ブルーム(1964年)努力→成果→報酬の結びつきと報酬の価値で、やる気が決まる目標を達成可能にし、報酬を本人が望むものにする
内発的動機づけデシ、ライアン(1985年ほか)自律・有能感・関係性が満たされると、内側からやる気が生まれる任せる・成長させる・つながりを作る

理論は2つの系統に分けて覚えると整理しやすくなります。マズロー・ハーズバーグ・マクレランドは「何がやる気を生むか」を扱う内容理論です。ブルームの期待理論は「どういう仕組みでやる気が生まれるか」を扱う過程理論です。

PMP で動機づけ理論が問われるのはなぜ?

新しい試験内容の概要(ECO 2026)の People 領域タスク3「チームを率いる」には、次のような例が並んでいます。チームとしての期待を決める、チームに権限を委ねる、適切なリーダーシップスタイルを決める、などです。どれも、メンバーのやる気を引き出し、保つことと切り離せません。

ECO に理論の名前は書かれていません。ただ、次のような状況問題では、動機づけ理論の考え方が判断の助けになります。チームの士気が落ちた、ベテランが仕事に飽きている、報酬を上げても意欲が戻らない、といった場面です。

マズローの欲求段階とは?

アブラハム・マズローは1943年の論文で、人の欲求を段階に分けて説明しました。一般には、下から「生理的欲求」「安全の欲求」「所属と愛の欲求」「承認の欲求」「自己実現の欲求」の5段階で紹介されます。

マズローの欲求段階(一般的な5段階の説明。当サイトの整理)
  1. 自己実現力を発揮し、成長したい。挑戦的な仕事や学びの機会
  2. 承認認められたい。成果を称える、責任ある役割を任せる
  3. 所属と愛仲間として受け入れられたい。チームの一体感
  4. 安全雇用や環境が安定していてほしい。見通しの共有
  5. 生理的生活の基本が満たされたい。適切な労働時間と給与

プロジェクトに当てはめると、こう考えられます。雇用の不安を抱えているメンバー(安全の欲求)に「挑戦的な仕事で成長しよう」(自己実現)と呼びかけても、響きにくいでしょう。相手が今どの段階を重視しているかを見て関わり方を考える、というのが試験での使い方です。

ハーズバーグの二要因理論とは?

フレデリック・ハーズバーグは、仕事への満足と不満は、別々の要因から生まれると考えました。

  • 衛生要因: 会社の方針、上司の監督、人間関係、作業環境、給与、身分、雇用の安定など。足りないと不満が生まれる。整えても不満がなくなるだけで、積極的なやる気にはつながりにくい。
  • 動機づけ要因: 達成、承認、仕事そのもの、責任、昇進、成長など。満たされると、やる気が生まれる。

試験によく出るのは、「給与は衛生要因」という点です。給与を上げれば一時的に不満は減りますが、それだけで意欲が長く続くとは限りません。意欲を高めたいなら、責任ある仕事を任せる、成果を認める、成長の機会を作る、といった動機づけ要因に目を向けます。

マグレガーの X理論・Y理論とは?

ダグラス・マグレガー(マクレガーとも表記)は、管理者が人をどう見ているかが、管理のやり方を決めると指摘しました。

X理論 は、人はもともと仕事が嫌いで、命令や管理がないと働かない、という人間観です。この見方に立つと、細かく監視し、罰と報酬で動かす管理になります。

Y理論 は、人は条件が整えば自ら働き、責任も引き受ける、という人間観です。この見方に立つと、目標を共有して任せ、自分で考えさせる管理になります。

PMP では、Y理論に近い考え方が正解になりやすいです。チームに権限を委ね、自己組織的に動いてもらうアジャイルの考え方とも合っています。ただし、問題文で「X理論の管理者」のように特定の人物の考え方が問われることもあるので、両方の意味を押さえておきます。

マクレランドの欲求理論とは?

デビッド・マクレランドは、人の仕事への意欲を、達成・権力・親和の3つの欲求から説明しました。どの欲求が強いかは人によって違うので、同じ役割や報酬でも響き方が変わります。

  • 達成欲求: 難しすぎない挑戦をやり遂げたい。達成の基準がはっきりした仕事を任せ、結果を早く知らせる。
  • 権力欲求: 人や組織に影響を与えたい。調整役やリーダー役など、影響力を発揮できる役割を任せる。
  • 親和欲求: 人と良い関係を保ちたい。協力が欠かせない仕事を任せ、チームの一員としての居場所を作る。

試験では、理論名の暗記より「メンバーごとに意欲の源が違う」という考え方として使います。全員に同じ報酬を配るより、本人が何を望んでいるかを確かめる選択肢が正解に近くなります。

期待理論と内発的動機とは?

ビクター・ブルームの期待理論では、やる気は3つの要素の掛け合わせで決まると考えます。1つでもゼロに近いと、やる気は生まれません。

  • 期待: 努力すれば成果を出せると思えるか(目標が高すぎると下がる)。
  • 道具性: 成果を出せば、報酬や評価につながると思えるか。
  • 誘意性: その報酬に、本人が価値を感じるか。

たとえば、どう頑張っても達成できない期限を課されると、期待が下がります。成果を出しても評価に反映されないなら、道具性は低いままです。報酬が本人の望むものでなければ、誘意性が足りません。どれか1つでも欠ければ、意欲は落ちます。

内発的動機づけは、報酬のような外からの刺激ではなく、仕事そのものの面白さや成長の実感から生まれるやる気です。デシとライアンらの自己決定理論では、自律(自分で決められる)・有能感(できると感じる)・関係性(仲間とつながっている)の3つが大切だとされます。

チームに任せ、成長を支え、つながりを作るサーバントリーダーの行動は、内発的動機を育てます。

チームの士気が下がったとき、正解はどれ?

試験でよく出るのは「チームの士気が下がっている」状況です。当サイトでは、次の順で考えることをすすめています。

  1. まず原因を確かめる: 個別に話を聞く。負担の偏り、評価への不満、仕事への飽き、将来への不安など、理由は人によって違う。
  2. 原因に合った手を打つ: 不満の原因が衛生要因(労働時間・環境)なら整える。意欲の問題なら、責任ある役割や成長の機会、成果の承認を考える。
  3. 本人が価値を感じる報酬にする: 全員に同じ報酬を配るより、本人が何を望んでいるかを確かめる。

誤りになりやすいのは、理由を確かめずにボーナスや食事会で解決しようとする、士気の低いメンバーを叱る、すぐに交代させる、といった選択肢です。

PM が使える影響力の種類は、PMPで出る権力の種類で解説しています。感情への気づき方は感情的知性(EI)の記事、率い方の全体はPMPのリーダーシップスタイルを参考にしてください。動機づけの問題は People のタスクで横断的に出るので、タスク別ドリルでまとめて練習すると判断が安定します。

確認問題1

ベテランのやる気が落ちている

(当サイトの独自問題)経験10年のベテランのメンバーが、最近、会議での発言や改善の提案をほとんどしなくなりました。作業の質は保っています。話を聞くと「同じような作業のくり返しで、新しく学ぶことがない」と言います。給与や職場環境への不満は、特にないようです。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:3。不満の原因は給与や環境(衛生要因)ではなく、成長や挑戦の機会が足りないこと(動機づけ要因)です。本人と相談して、責任や学びのある役割を任せるのが適切です。

1:給与は衛生要因で、今回の原因に合っていません。2:意欲の低下を放置しています。4:承認は動機づけ要因ですが、本人が求めている「新しく学ぶこと」には応えていません。

確認問題2

報酬を用意したのに意欲が上がらない

(当サイトの独自問題)プロジェクトの遅れを取り戻すため、スポンサーは「期限内に完了したらチーム全員に特別賞与を出す」と発表しました。ところがチームの意欲は上がらず、あるメンバーは「あの期限はどう頑張っても無理だ」と話しています。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:2。期待理論でいう「努力すれば達成できる」という見込みが低いことが原因です。報酬の価値を上げても、達成できないと思えばやる気は生まれません。チームと実現性を見直し、達成できる計画をスポンサーと相談します。

1:誘意性(報酬の魅力)を上げても、期待が低いままでは効果が薄いです。3:条件を繰り返し伝えても、原因に対応していません。4:原因が計画にあるのに、メンバーを替えても解決しません。

確認問題3

細かく監視する管理者

(当サイトの独自問題)ある機能部門のマネジャーは、プロジェクトに出している部下に毎時間の作業報告を求めています。少しでも手が止まると注意するので、部下たちは「信用されていない」と感じ、意欲が下がっています。このマネジャーの考え方を最もよく表すのはどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:1。人は管理されないと働かないという人間観に立ち、細かく監視するのは X理論の管理です。

2:Y理論は、人は自ら働き責任を引き受けると見て、任せる管理です。3:動機づけ要因は、達成や承認などやる気を生む要因で、監視とは関係ありません。4:自己実現の欲求は、成長や力の発揮を求める欲求です。管理者の考え方を表すものではありません。

よくある質問

給与を上げればチームのやる気は上がりますか?

ハーズバーグの二要因理論では、給与は衛生要因です。足りないと不満を生みますが、上げても長く続くやる気にはつながりにくいとされます。意欲を高めるには、達成・承認・責任・成長などの動機づけ要因が大切です。

X理論とY理論はどちらが正しいのですか?

どちらかが常に正しいわけではありません。ただ PMP では、Y理論に近い考え方(任せて責任を持たせる)が正解になりやすいです。チームに権限を委ねるアジャイルの考え方とも合っています。

マクレランドの欲求理論とは何ですか?

人の意欲を、達成・権力・親和の3つの欲求で説明する理論です。どの欲求が強いかは人によって違うため、メンバーに合わせて役割や任せ方を変える、という考え方につながります。

PMP の新しい出題範囲に動機づけ理論は書かれていますか?

ECO 2026 に理論の名前は書かれていません。ただし People タスク3「チームを率いる」の状況問題で、チームの意欲を判断する考え方として役立ちます。

出典・参考

  1. [1]Maslow, A. H. (1943). A theory of human motivation. Psychological Review
  2. [2]Herzberg, F. (1968). One More Time: How Do You Motivate Employees? Harvard Business Review(2003年再掲)
  3. [3]McClelland, D. C., & Burnham, D. H. (1976). Power Is the Great Motivator. Harvard Business Review(2003年再掲)
  4. [4]PMI: PMP Examination Content Outline – July 2026(PDF)

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