PMPの「ひっかけ」とは何?
PMPの問題は、受験者をだますために作られてはいません。ただ、どの選択肢も実務でありえる行動として書かれ、その中から「最も適切」なものを選ばせます。正しく見える選択肢が2つ以上残ることも多く、受験者はそれを「ひっかけ」と感じます。
誤答には型があります。当サイトでは、よくある型を10個に整理しました。この記事の確認問題では、誤答がどの型にあたるかを番号で示しています。
| # | パターン | 見分け方 |
|---|---|---|
| 1 | 正しいが今ではない | 分析・対話の前に、対策や手続きを進めていないか |
| 2 | 済んだことをもう一度やる | 状況に「すでに〜した」がないか |
| 3 | PMが自分でやる | チームやプロダクトオーナーの役割を奪っていないか |
| 4 | すぐ上に上げる | 当事者と話す前に、上位者に預けていないか |
| 5 | 契約・規則を盾にする | 相手の事情を聞かずに、ルールで打ち切っていないか |
| 6 | 何もしない・先送りする | 問題の兆しを放置していないか |
| 7 | 極端な行動 | 中止・交代・全面やり直しを、他の手より先に選んでいないか |
| 8 | 絶対表現 | 「必ず」「すべて」「二度と」が付いていないか |
| 9 | アプローチの取り違え | アジャイルの問題に予測型の手順を当てていないか(逆も) |
| 10 | 訳語のずれ | 日本語の語感で、意味を取り違えていないか |
「正しいが今ではない」選択肢はどう見抜く?
代表的な型です。選択肢の行動そのものは正しいので、内容だけを見ると選びたくなります。見抜くには、今どの段階かを先に決めておきます。
たとえば、顧客から変更の依頼が来た直後に「変更要求を変更管理委員会に提出する」は、正しい手順ですが早すぎます。影響の分析が先です。逆に、状況に「影響を分析した」とあれば、分析を選ぶのはパターン2(済んだことをもう一度やる)の誤りです。
問いが「まず」なのか「次に」なのかで、正解の位置が1段ずれます。順番の考え方は状況問題の解き方で手順にしています。
「PMが自分でやる」選択肢はなぜ誤り?
PMは何でも引き受ける人ではなく、役割が果たされるように支える人だからです。特にアジャイルの問題で、この型がよく見られます。
- PMがタスクを割り振る(アジャイルではチームが自分で決める)。
- PMがバックログの優先順位を変える(プロダクトオーナーが決める)。
- PMがメンバーの代わりに技術的な問題を解く(チームの成長を妨げる)。
- PMが一人で変更を承認する(予測型では、決めた承認者が判断する)。
パターン4(すぐ上に上げる)はこの逆で、自分でやるべきことを人に預けています。どちらも、役割の線引きを外した誤答です。上に上げるのが正しい条件はエスカレーションの判断基準にまとめました。
「契約・規則を盾にする」選択肢とは?
「契約の範囲外なので断る」「規則なので対応しない」のように、相手の事情を聞かずにルールで打ち切る選択肢です。
契約や規則を守ること自体は正しい行動です。誤りなのは、話を聞く・影響を分析する・正式な手順に乗せる、といった行動を飛ばして終わらせる点にあります。仕入先との揉め事でも、いきなり契約違反を通告するより、まず相手と話して事情を確かめる選択肢が正解になりやすいです。
ただし、倫理や法令に反する依頼は別です。その場合は、はっきり断るのが正しい行動になります。
絶対表現や極端な行動はいつも誤り?
多くの場合は誤りです。「必ず」「すべて」「二度と」「直ちに中止する」は、状況に合わせて調整する考え方と合わないからです。
プロジェクトの中止、メンバーの交代、計画の全面的なやり直しといった極端な行動も、他の手を尽くす前に選ぶと誤りです。ただし、安全に関わる場面や法令違反が明らかな場面では、直ちに止める行動が正解になります。極端に見えても、状況の重さに見合っているかで判断します。
問いの読み違いもひっかけになる?
なります。選択肢ではなく、問いの形でつまずく型です。次の4つは、問いを読んだ時点で確かめます。
- 「まず」と「次に」:「次に」なら、状況に書かれた行動の、ひとつ後を選びます。
- 「すべきだった」:過去の形の問いは、次の行動ではなく、問題を防ぐために前もってすべきだった行動(計画・予防)を問います。
- 否定の問い:「行うべきでないもの」を問う形なら、正しい行動を外していき、残った1つを選びます。
- 選ぶ個数:複数回答の問題で「2つ選ぶ」などの指示を読み落とすと、それだけで失点します。
日本語訳で意味が変わる語は?
日本語で受験すると、訳語の語感で意味を取り違えることがあります。翻訳版の試験では、各問題の画面に英語の原文を表示するボタンがあります(PMIのハンドブック、2026年6月改訂版)。迷ったら原文を確かめてください。
- 課題(issue):PMPでは「すでに起きている問題」です。日本語の「課題」は、これから取り組むテーマの意味でも使うので注意します。
- 障害(impediment):システムの故障ではなく、チームの作業を妨げるもの全般です。
- 評価する(assess / evaluate):人事評価ではなく、状況や影響を調べて判断することです。
- エスカレーションする(escalate):上位者に判断を仰ぐことで、問題を大きくする意味ではありません。
訳語の扱いは日本語訳がわかりにくいときの対処で詳しく扱っています。パターン9(アジャイルと予測型の取り違え)は予測型とアジャイルの見分け方を見てください。
用語や計算問題にもひっかけはある?
あります。状況問題とは別に、似た用語の取り違えや、計算の問いの読み違いを誘う選択肢があります。代表は、コミュニケーション・チャネルの「総数」と「増えた数」です。
チャネルの数 = n(n−1) ÷ 2(nは人数)
- 15人のチーム:5 × 4 ÷ 2 = 10本
- 23人加わって8人:8 × 7 ÷ 2 = 28本
- 3増えた数:28 − 10 = 18本
「何本になるか」なら28本、「何本増えるか」なら18本
| 取り違えやすい組 | 違い | 見分けるところ |
|---|---|---|
| 定性的リスク分析/定量的リスク分析 | 定性は確率と影響で優先順位を付ける。定量は数値で全体への影響を見積もる | 金額や日数で全体を出すなら定量 |
| スコープ・クリープ/ゴールド・プレーティング | クリープは管理されない要求の追加。ゴールド・プレーティングは、チームが頼まれていないものを足すこと | 誰が足したか(関係者か、チームか) |
| 検証(verify)/妥当性確認(validate) | 検証は仕様どおりかを確かめる。妥当性確認は顧客に受け入れてもらう | 相手が品質の担当か、顧客か |
| SPI・CPIが1より大きい/小さい | 1より大きいと良い(先行・予算内)。小さいと遅れ・超過 | どちらもEVが分子(EV÷PV、EV÷AC) |
計算の問いは、最後の一文で「何を」求めているかを確かめてから解きます。型と用語を押さえたら、実際の問題で確かめるのが早道です。無料模試30問の解説では、各選択肢が誤りの理由を確かめられます。
確認問題1
規制の新しい基準が発表された
(当サイトの独自問題)予測型のプロジェクトで、規制当局が製品の表示に関する新しい基準を発表した。基準は半年後に施行され、プロジェクトの成果物にも関わる可能性がある。プロジェクト・マネジャーがまず行うべきことはどれか。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
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正解:2。外部環境の変化は、まずスコープや成果物への影響を評価します。ECO 2026のBusiness Environment Task 8にも、外部の変化の影響を評価する行動があります。
1:正しい手順ですが、分析の前では早すぎます(パターン1)。3:影響もわからないうちに、判断を上に預けています(パターン4)。4:影響を確かめずに先送りしています(パターン6)。
確認問題2
仕入先の納品の遅れ
(当サイトの独自問題)固定価格の契約で部品を納める仕入先が、2回続けて納期に遅れた。仕入先からは、遅れの理由について説明がない。プロジェクト・マネジャーがまず行うべきことはどれか。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
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正解:3。まず契約の条項を確かめ、仕入先と直接話して遅れの原因を聞きます。原因によっては、一緒に解決策を考えられます。
1:契約にもとづく手段ですが、事情を聞く前に通知しています(パターン5)。2:原因もわからないうちに、仕入先の変更という大きな手に進んでいます(パターン7)。4:当事者と話す前に、上に上げる型です(パターン4)。
確認問題3
アジャイルのチームでの役割
(当サイトの独自問題)アジャイルのチームで、スプリントプランニングが毎回長引いている。原因は、どのメンバーがどのタスクを担当するかで議論が続くことである。プロジェクト・マネジャーが最も適切に行うことはどれか。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
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正解:4。タスクの分担は、チームが自分で決めるものです。PMは、チームが進め方を自分たちで改善できるように促します。
1:PMが自分でやる型です(パターン3)。2:プロダクトオーナーは優先順位を決める役割で、担当の割り振りは役割に入りません。3:「必ず」で縛るうえに、PMの指示で決めています(パターン8・3)。