スプリントレビューの目的は?
スプリントレビューの目的は、スプリントの成果を検査し、今後どう適応するかを決めることです。スクラムガイド(2020年版)では、スクラムチームが主要な関係者に作業の結果を示す場とされています。プロダクトゴールへの進み具合も話し合います。
スプリントレビューは、スプリントのイベントの中で最後から2番目に行います。この後にスプリントレトロスペクティブがあり、スプリントが終わります。時間の上限は、1か月のスプリントで4時間です。
スプリントの中の毎日の検査はデイリースクラムが担います。スプリント全体の成果を関係者と検査するのが、このレビューです。
大事なのは「次を決める」ことです。できたものを見せて拍手で終わるのではなく、「次に何を作るのが一番価値があるか」を関係者と一緒に考えます。
- 1
ゴールと結果を共有
スプリントゴールと、完了したもの・しなかったものを説明する
- 2
インクリメントを触ってもらう
関係者に実際に操作してもらい、反応を見る
- 3
環境の変化を共有
市場・利用状況・予算・期限など、前回からの変化を話す
- 4
次に何をするか話し合う
プロダクトバックログを見ながら、次の候補を話し合う
- 5
バックログを見直す
プロダクトオーナーが並び順や中身を調整する
進め方の例は当サイトの整理です。スクラムガイドは手順を細かく定めていません。
誰が参加し、どう進める?
| 参加者 | 役割 |
|---|---|
| プロダクトオーナー | プロダクトゴールへの進み具合を説明し、フィードバックをバックログに反映する |
| 開発者 | 作ったものを見せ、関係者の質問に答える。技術的な気づきを共有する |
| スクラムマスター | イベントが目的どおりに時間内に行われるよう支える |
| 主要な関係者 | 顧客・利用者・スポンサー・関係部署など。実際に触り、意見を出す |
関係者が出席しないと、スプリントレビューは単なる社内の確認になってしまいます。プロダクトオーナーとスクラムマスターは、本当に意見をくれる人(実際の利用者や判断する人)に来てもらう工夫をします。
意識したいのは、関係者が「見る」だけでなく「触る」ことです。スライドの説明より、実際の画面を操作してもらう方が本音の反応が出ます。
アジェンダの例は?(60分の場合)
2週間のスプリントで、60分のレビューを開く場合の例です。2週間のときの上限の目安は、1か月の4時間を比例させた2時間です。
| 時間 | やること | 主に話す人 |
|---|---|---|
| 5分 | スプリントゴールと、完了したもの・しなかったものを説明する | プロダクトオーナー |
| 20分 | 完成したインクリメントを、関係者に実際に触ってもらう | 開発者・関係者 |
| 10分 | 市場・利用状況・予算・期限など、前回からの変化を共有する | プロダクトオーナー・関係者 |
| 20分 | プロダクトバックログを見ながら、次に何をするか話し合う | 全員 |
| 5分 | 決まったことと、次のスプリントにつなぐ内容を確かめる | プロダクトオーナー |
準備では、本当に意見をくれる関係者を招き、ゴールと議題を前もって伝えます。触ってもらう環境も、事前に動作を確かめておきます。
フィードバックはどうバックログに反映する?
スプリントレビューで出た意見は、その場で開発者が「やります」と引き受けるものではありません。プロダクトバックログに入れて、プロダクトオーナーが並べ直します。流れは次のとおりです。
- 意見を記録する: 誰の、どんな意見かを書き留めます。その場で良し悪しを決めつけません。
- 背景を聞く: 「なぜそう思うか」「どんな場面で困るか」を聞き、本当の要求を探ります。
- バックログに入れる: 新しいアイテムとして入れるか、既存のアイテムを書き直します。
- 並べ直す: 価値・リスク・依存関係を見て、プロダクトオーナーが並び順を決めます。
- 次のプランニングにつなぐ: 上位に来たアイテムは、次のスプリントプランニングの候補になります。
関係者の声を早く取り込めば、最後にまとめて納品して「思っていたものと違う」となる危険を減らせます。新ECO(2026年版)の Process のタスク3は「価値に基づく提供」です。価値と関係者のフィードバックに基づく優先順位付けも、ここに含まれます。顧客の期待や満足の扱いは、顧客満足の管理でも扱います。
デモ会とはどう違う?
スプリントレビューは「デモ」と呼ばれることがあります。しかしスクラムガイドは、レビューを発表だけに限らないよう注意しています。違いを並べると次のとおりです。
ただのデモ会
- 形チームが一方的に見せる
- 見せるものうまく動く部分だけ見せる
- 終わり方拍手と感想で終わる
- 結果計画は変わらない
スプリントレビュー
- 形関係者と話し合う作業の場
- 見せるもの完了しなかったものや問題も共有する
- 終わり方次に何をするかを決める
- 結果プロダクトバックログが見直される
もう1つの大きな違いは、見せるものの条件です。スプリントレビューで見せるのは、完了の定義(DoD)を満たしたインクリメントだけです。「ほぼ終わった」ものを見せると、関係者は完成したと誤解し、透明性が失われます。
よくある失敗と、試験で正解になる行動は?
スプリントレビューでよくある失敗は、PMP の状況問題の題材にもなります。当サイトで整理すると次のとおりです。
| よくある失敗・場面 | 正解になりやすい行動 |
|---|---|
| 関係者が新しい機能を求め、開発者がその場で約束しそうになる | その場で約束せず、プロダクトオーナーがバックログに入れて並べ直す |
| 未完成の機能を見せたいと開発者が言う | 完了の定義を満たしたものだけを見せ、状況は正直に伝える |
| 関係者が出席しない | 理由を聞き、出席の価値を説明して日程や形式を見直す |
| 発表だけで終わる(一方的な報告会) | 話し合いの時間を設け、次の行動を決める場に戻す |
| 時間を大きく超える | 議題と時間配分を決め、細かい議論は別の場に移す |
| レビューで品質の問題が見つかった | 原因はレトロスペクティブでチームと話し合う |
最後の行のように、レビューは「プロダクト」を、レトロスペクティブは「進め方」を検査する場です。違いはレトロスペクティブ(ふりかえり)の進め方で確認してください。
確認問題1
レビューで顧客が新機能を求める
(当サイトの独自問題)スプリントレビューで、顧客の代表が完成した検索画面を触りました。「絞り込みの条件をあと3つ追加してほしい。来週には使いたい」と言っています。開発者の一人は「すぐ対応します」と答えそうになっています。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
正解と解説を見る
正解:3。レビューで出た要望は、背景を聞いて記録し、プロダクトオーナーがプロダクトバックログに入れて並べ直します。「来週使いたい」という事情も、並び順を決める材料になります。
1:何を次に作るかは、プロダクトオーナーが決めます。2:フィードバックを得るための場で要望を拒むのは、目的に反します。4:アジャイルの場面で、いきなり正式な変更管理にかける必要はありません。
確認問題2
未完成の機能を見せたい
(当サイトの独自問題)スプリントの終わりに、決済機能のテストが半分しか終わっていません。開発者は「画面は動くので、レビューで見せて関係者を安心させたい」と言っています。完了の定義には、すべての自動テストの合格が含まれています。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
正解と解説を見る
正解:1。レビューで見せるのは、完了の定義を満たしたインクリメントだけです。未完了の作業はプロダクトバックログに戻し、状況は正直に共有します。
2:未完成と断っても、完了の定義(すべての自動テストの合格)を満たさないものはレビューで提示しません。テストが半分残った画面を見せると、関係者が進み具合を正しく判断できなくなります。3:スプリントの長さを場当たりで延ばすのは誤りです。4:都合で品質の基準を下げると、技術的負債がたまります。
確認問題3
関係者がレビューに来ない
(当サイトの独自問題)スプリントレビューを3回続けて開いていますが、利用部門の担当者が誰も出席していません。チームは毎回、自分たちだけで成果を確認しています。リリースは2か月後の予定です。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
正解と解説を見る
正解:4。関係者のフィードバックは、レビューの中心です。出席しない理由を聞き、価値を説明し、日程や形式(短時間・オンラインなど)を一緒に調整します。
1:手戻りの危険を、リリースまで先送りにします。2:資料だけでは触ったときの反応が得られず、沈黙を了承とみなすのも危険です。3:本物の利用者の意見の代わりにはなりません。
関係者の関わり方が問われる問題は、無料模試30問にも入っています。