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完了の定義(DoD)とは?受け入れ基準との違い・決め方・例をPMP向けに

アジャイル・スクラムの完了の定義(DoD)とは何かを、例、受入基準との違い、誰がどう決めるか、作り方の4ステップで解説。準備完了の定義(DoR)や未完了の作業の扱い、PMP試験の確認問題3問つき。

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執筆
プロマネ模試 編集部
まず結論

この記事の要点

  • 完了の定義(Definition of Done、DoD)は、「完了」と言える品質の基準です。作ったものが、品質を満たして使える状態かを判断します。スクラムでは、インクリメントの確約にあたります。
  • 受入基準はアイテムごとの条件、完了の定義はすべてのアイテムに共通する条件です。両方を満たして初めて完了です。
  • 組織の標準があればそれが最低限になり、なければスクラムチームが作ります。同じプロダクトを複数のチームで作るなら、共通の定義を使います。
  • 完了の定義を満たさない作業は、レビューで見せず、リリースもせず、プロダクトバックログに戻します。都合で基準を下げるのは誤りです。

完了の定義とは?

完了の定義は、インクリメントが、プロダクトに求められる品質を満たした状態を正式に書き表したものです。インクリメントは、スプリントで作った使える成果物のことです。スクラムガイド(2020年版)では、インクリメントの確約(コミットメント)とされています。

なお、スクラムガイドの日本語版では「完成の定義」と訳されています。この記事では、PMP の日本語の教材で多い「完了の定義」を使います。

あるアイテムが完了の定義を満たした時点で、インクリメントが生まれます。完了の定義があれば、チームの全員と関係者が「完了」を同じ意味で使えます。「自分の作業は終わった」「テスト以外は終わった」といった、あいまいな「完了」をなくすのが目的です。

例として、Webサービスの開発チームの完了の定義は次のようになります。

  • コードレビューを受け、指摘をすべて直した
  • 自動テスト(単体・結合)がすべて合格した
  • 受入基準をすべて満たすことを確かめた
  • セキュリティの自動チェックで重大な指摘がない
  • 本番と同じ構成の環境に配置して動作を確かめた
  • 利用者向けのヘルプの文章を更新した

上の例は当サイトが作成したものです。実際の項目は、プロダクトの性質や組織の基準によって変わります。

受入基準(受け入れ基準)とはどう違う?

PMP の問題でも実務でも混同されやすいのが、受入基準との違いです。受入基準は、アイテムごとに「何ができればよいか」を示す条件です。

完了の定義と受入基準

完了の定義(DoD)

  • 対象すべてのアイテムに共通
  • 表すもの品質の基準(どう作るか)
  • 誰が決めるかスクラムチーム(組織の標準があればそれが最低限)
  • 変わる頻度めったに変えない。改善で厳しくしていく
  • 例例:自動テスト合格・レビュー済み

受入基準

  • 対象アイテムごとに違う
  • 表すもの機能の条件(何ができるか)
  • 誰が決めるかプロダクトオーナーが中心にチームと話し合う
  • 変わる頻度アイテムごとにリファインメントで決める
  • 例例:前日18時まで予約を取り消せる

両方を満たして初めて「完了」です。どちらか片方だけでは完了ではありません。

受入基準の書き方は、ユーザーストーリーと合わせて扱うのが一般的です。詳しくはユーザーストーリーの書き方で扱います。

もう1つ混同されやすいのが、準備完了の定義(Definition of Ready、DoR)です。アイテムをスプリントに入れてよい状態を表す条件で、「受入基準がある」「見積もり済み」などを並べます。スクラムガイドには書かれておらず、チームが必要に応じて使う取り決めです。PMI の『アジャイル実務ガイド』は、チーム憲章で決める作業の合意の例に「準備完了」と「完了」を挙げています。

誰がどう決める?

スクラムガイドでは、決め方を次のように定めています(当サイトの要約)。

  1. 組織の標準があれば、それが最低限になる: 組織として決めた完了の定義があれば、すべてのスクラムチームがそれを守ります。チームはそれより厳しくすることはできます。
  2. 組織の標準がなければ、スクラムチームが作る: プロダクトに合った完了の定義を、スクラムチームが作ります。
  3. 開発者は守る: 開発者は完了の定義に従う必要があります。
  4. 複数のチームなら共通にする: 同じプロダクトを複数のチームで作る場合は、共通の完了の定義を一緒に決めて守ります。

決めるときはプロダクトオーナーも加わり、関係者が期待する品質(安全性・性能・法令への適合など)を反映します。最初から完璧を目指す必要はありません。レトロスペクティブで見直し、少しずつ厳しくしていくのが一般的です。

どうやって作る?(4ステップ)

初めて完了の定義を作るときの手順です(当サイトの整理)。

完了の定義の作り方
  1. 1

    1. 期待を集める

    組織の標準と、関係者が求める品質(安全・性能・法令)を確かめる

  2. 2

    2. 守れる項目から書く

    毎スプリント確実に守れる項目を、チェックリストにする

  3. 3

    3. 見える所に置く

    ボードやリポジトリに掲示し、全員が同じ基準を使う

  4. 4

    4. ふりかえりで厚くする

    不具合や手戻りの原因を見て、項目を少しずつ足す

最初から完璧を狙わず、守れる基準を確実に守ることから始めます。

守れない基準を並べると、「完了」の意味がまたあいまいになります。最初の版は、毎スプリント確実に守れる項目だけで構いません。

品質とどうつながる?

完了の定義は、アジャイルで品質を守る中心の仕組みです。予測型では、品質を最後のテストの工程でまとめて確かめることが多くあります。アジャイルでは毎スプリント、完了の定義で品質を作り込みます。

完了の定義が守られないと起きること
「ほぼ完了」を完了として扱うレビューで関係者が完成したと誤解し、透明性が失われる
テストを後回しにする未テストの作業が積み上がり、最後にまとめて不具合が見つかる
スプリントごとに基準を変えるベロシティなどの実績が比べられず、予測が狂う
都合で基準をゆるめる技術的負債がたまり、後で開発の速度が落ちる

完了の定義を満たしていない作業は、「未完了の作業(Undone work)」と呼ばれることがあります。残っていると、後でまとめて片付ける必要が出て、リリースが遅れる原因になります。

新ECO(2026年版)の Process のタスク7は、成果物の品質の計画と最適化です。品質の要求を集める、品質のプロセスと道具を計画する、継続的に見直して改善する、といった内容です。アジャイルの場面では、完了の定義の作成と改善がこれにあたります。スコープの確定との関係はスコープマネジメントでも扱います。

PMP試験ではどう問われる?

  • スプリントの終わりにテストが残っている → 完了ではない。スプリントレビューで見せず、バックログに戻す
  • 納期のために完了の定義をゆるめたい → ゆるめない。範囲をプロダクトオーナーと調整する
  • チームごとに「完了」の意味が違う → 同じプロダクトなら共通の完了の定義を決める
  • リリース後に不具合が多い → レトロスペクティブで完了の定義を見直し、厳しくする
  • 組織の品質基準がある → それを最低限として、チームの完了の定義に含める

MVPのように小さく早く出す場面でも、完了の定義は守ります。小さくするのは機能の範囲で、品質の基準ではありません。詳しくはMVP開発とは?を参照してください。

確認問題1

テストが終わらないまま締め切り

(当サイトの独自問題)スプリントの最終日、2つのアイテムで結合テストが終わっていません。完了の定義には、結合テストの合格が含まれています。スポンサーが出席するスプリントレビューが1時間後にあり、開発者は「動くので見せたい」と言っています。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:4。完了の定義を満たさない作業は、レビューで見せず、プロダクトバックログに戻します。状況は正直に関係者へ伝えます。

1:都合で基準を下げると、品質と透明性が失われます。2:口頭で補足しても、完了していない作業をレビューで見せることになります。スクラムガイドは、完了の定義を満たさないアイテムはレビューで提示もできないとしています。3:タイムボックスを守らず、問題の先送りにもなります。

確認問題2

チームごとに完了の意味が違う

(当サイトの独自問題)1つの業務システムを、3つのスクラムチームで開発しています。統合したところ、あるチームの機能は性能テストを済ませていましたが、他の2チームはしていませんでした。各チームは「自分たちの完了の定義は満たしている」と言っています。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:1。同じプロダクトを複数のチームで作るなら、共通の完了の定義を一緒に決めて守ります。統合したインクリメントの品質がそろいます。

2:品質の差を放置しています。3:品質の確認を最後に回す進め方に戻り、問題の発見が遅れます。4:チームで合意して決めるもので、PMが一方的に指示するものではありません。

確認問題3

完了の定義と受入基準

(当サイトの独自問題)アジャイルのチームに新しいメンバーが加わりました。メンバーは「完了の定義」と「受入基準」の違いを質問してきました。プロジェクト・マネジャーの説明として最も適切なものはどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:3。完了の定義は、すべてのアイテムに共通する品質の基準です。受入基準は、アイテムごとに「何ができればよいか」を示す条件です。両方を満たして完了になります。

1:2つは別のものです。2:説明が逆になっています。4:完了の定義はスプリントの中で毎回使い、インクリメントができたかの判断に使います。

品質やスコープの場面の問題は、無料模試30問にも入っています。

よくある質問

完了の定義は誰が決めますか?

組織の標準があれば、それが最低限になります。なければ、スクラムチームがプロダクトに合った定義を作ります。開発者は、その定義に従って作業します。

完了の定義はスプリントの途中で変えてもよいですか?

途中で基準をゆるめるのは誤りです。改善はレトロスペクティブで話し合い、次のスプリントから厳しくする形で行うのが一般的です。

準備完了の定義(DoR)はスクラムの用語ですか?

スクラムガイドには書かれていません。アイテムをスプリントに入れられる状態の条件として、チームが必要に応じて使う取り決めです。

完了の定義の項目はいくつくらいが適切ですか?

決まりはありません。毎スプリント確実に守れる数から始め、レトロスペクティブで少しずつ足していきます。

出典・参考

  1. [1]Scrum Guides: The 2020 Scrum Guide
  2. [2]スクラムガイド 2020年版(日本語PDF)
  3. [3]PMI・Agile Alliance『アジャイル実務ガイド』日本語版(PDF)
  4. [4]Agile Alliance: Definition of Done
  5. [5]PMI: PMP Examination Content Outline – July 2026(PDF)

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