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リスクと課題の違い|リスクが課題になった時にPMがとるべき対応

リスクと課題(イシュー)の違いを、定義・記録先・対応で整理。障害・タスクとの違い、リスク登録簿と課題ログの使い分け、リスクが起きたときの手順、2026年版ECOでの扱いと確認問題3問つき。

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執筆
プロマネ模試 編集部
まず結論

この記事の要点

  • リスクは「まだ起きていない、起きるかもしれないこと」、課題は「すでに起きていて、対処が必要なこと」です。
  • リスクはリスク登録簿、課題は課題ログで管理します。リスクが起きたら、課題ログに移して解決まで追いかけます。
  • 特定済みのリスクが起きたら、まずリスク登録簿を見て、決めておいた対応策(コンティンジェンシー計画)を実行します。想定外の出来事なら、その場の対処(ワークアラウンド)を決めます。
  • 2026年版ECOでは、課題(Business4)とリスク(Business5)が隣り合うタスクです。Business4 には「リスクが課題に変わったときに気づく」が入っています。

リスクと課題の違いは?

一番の違いは時間です。リスクは未来、課題は現在です。

リスクは、起きるかどうか分からない出来事や条件で、起きればプロジェクトの目標に影響します。悪い影響(脅威)だけでなく、よい影響(好機)もリスクに含みます。課題(イシュー)は、すでに起きていて、対処しないと目標に影響する問題です。

リスクと課題の比較

リスク

  • 状態まだ起きていない(不確か)
  • 評価の軸発生確率と影響で評価する
  • 記録先リスク登録簿
  • 対応前もって対応を計画する(回避・軽減など)
  • 例主要な部品の納期が遅れるかもしれない

課題

  • 状態すでに起きている(確か)
  • 評価の軸影響と緊急さで評価する
  • 記録先課題ログ
  • 対応いま対処する(担当と期限を決める)
  • 例主要な部品の納期が2週間遅れると連絡が来た

当サイトの整理

日本語の「課題」は、「今後の課題」のように、取り組むべきテーマの意味でも使います。PMP の課題は英語の issue の訳で、すでに起きていて対処が必要な問題だけを指します。ここを混同しないようにしましょう。

障害やタスクとはどう違う?

似た言葉に、障害(インペディメント)とタスクがあります。2026年版ECOの Business4 は「障害を取り除き、課題を管理する」タスクなので、まとめて区別しておきます。

当サイトの整理
用語意味扱い方
リスクまだ起きていない、起きるかもしれないことリスク登録簿で確率と影響を見て、対応を計画する
課題(イシュー)すでに起きていて、目標に影響する問題課題ログで担当と期限を決め、解決まで追う
障害(インペディメント)チームの作業の進みを妨げているもの。課題の一種取り除くよう働きかける。スクラムではスクラムマスターの役目の1つ
タスク(作業)課題やリスクに対応するために行う具体的な作業担当と期限を決め、スケジュールやバックログに入れる

たとえば「テスト用サーバーに接続できない」は、チームの作業を止めている障害で、課題として記録します。「業者に復旧を依頼する」「代わりの環境を用意する」は、それを解決するためのタスクです。

リスク登録簿と課題ログはどう使い分ける?

どちらも一覧表ですが、目的が違います。

当サイトの整理
観点リスク登録簿課題ログ
目的起きる前に備える起きたことを解決する
主な項目リスクの内容、原因、確率、影響、対応策、オーナー、トリガー(兆候)課題の内容、影響、優先度、担当、対応策、期限、状況
更新のきっかけ新しいリスクの特定、定期的な見直し、状況の変化新しい課題の発生、対応の進み、解決
閉じるときリスクが起きなくなった、または課題に移ったとき解決を確かめたとき

それぞれの書き方は、課題管理表(課題ログ)の書き方とリスク登録簿の書き方で詳しく扱います。

リスクが課題に変わるのはいつ?

リスクが実際に起きた瞬間に、課題になります。多くの場合、その前に兆候(トリガー)が見えます。トリガーをリスク登録簿に書いておくと、「起きそうだ」と早く気づけます。

リスクが課題に変わるまでの流れ
  1. 1

    リスクを特定

    リスク登録簿に記録し、対応策とトリガーを決める

  2. 2

    トリガーを監視

    兆候が出ていないか定期的に確かめる

  3. 3

    リスクが発生

    課題として課題ログに登録する

  4. 4

    対応策を実行

    決めておいたコンティンジェンシー計画を使う

  5. 5

    記録を更新

    リスク登録簿・課題ログ・教訓を更新する

当サイトの整理

2026年版のECOでは、Business4(障害と課題)のイネーブラーに「リスクが課題に変わったときに気づく」があります。旧版(2021年版)でも Process15(課題の管理)に同じ趣旨がありましたが、リスクは Process3、障害は People7 と別々の場所でした。

2026年版では、課題・リスク・障害が Business Environment の中で隣り合うタスクになりました。リスク → 課題 → 障害の対応を、一続きの流れとして押さえておくと迷いにくくなります。

リスクが起きたら何をする?(コンティンジェンシー計画の実行)

リスクが起きたとき、PM がまずするのはリスク登録簿を見ることです。そのリスクに対して、前もって対応策(コンティンジェンシー計画)を決めてあるはずだからです。

  1. リスク登録簿で、そのリスクの対応策とオーナーを確かめる
  2. リスクのオーナーと一緒に、決めておいた対応策を実行する
  3. 課題として課題ログに登録し、解決まで追いかける
  4. 対応策が効かない、または想定外の影響があれば、代わりの計画(フォールバック計画)を使う
  5. 影響が PM の権限を超えるなら、決められた経路で上げる。変更が必要なら変更要求を出す
  6. リスク登録簿・課題ログを更新し、関係者に伝える。教訓として残す

対応策の費用は、多くの場合コンティンジェンシー予備(予備費)から出します。予備費は、特定したリスクのために前もって確保したお金です。対応策の型(回避・転嫁・軽減・受容など)は、リスク対応策の種類で整理しています。

一方、リスク登録簿にない、想定外の出来事が起きた場合は、決めておいた対応策がありません。この場合は、影響を評価して対応を考える「ワークアラウンド(その場の対処)」をとります。あわせて、似たリスクが他にないかを見直します。

課題が起きたら、リスクも見直すのはなぜ?

課題を解決して終わり、ではありません。1つの課題は、新しいリスクの入り口になることがよくあります。たとえば部品の遅れに代わりの業者で対応した場合、「その業者の品質が基準に届かないかもしれない」という新しいリスク(二次リスク)が生まれます。

同じ原因から、別の課題が起きる可能性もあります。港の混雑で1つの部品が遅れたなら、同じ港を通る他の部品も遅れるかもしれません。課題が起きたら、リスク登録簿を開いて確かめます。同じ原因のリスクが他にないか、対応策で新しいリスクが生まれていないか、の2点です。

逆に、課題として毎回同じ問題が起きているなら、それは計画の段階で見落としていたリスクです。教訓として記録し、次のプロジェクトのリスクの洗い出しに使えるようにします。

PMP試験ではリスクと課題がどう問われる?

状況問題で押さえたい判断の型は次のとおりです。

  • 特定済みのリスクが起きた → まずリスク登録簿を見て、計画した対応策を実行する。スポンサーにすぐ上げる、会議を開く、などより先です。
  • 想定外の出来事が起きた → 影響を評価し、ワークアラウンドで対処する。リスク登録簿に載っていないので、「計画を見る」だけでは足りません。
  • 課題が PM の権限で解けない → 関係者と協力し、それでも解けなければ上げる。
  • 問題文の「〜かもしれない」「〜した」を読み分ける → 未来ならリスク、起きたなら課題です。

チームの障害を取り除く場面では、サーバントリーダーとしての動き方も問われます(サーバントリーダーシップとは)。

「まず何をするか」の問題は、選択肢がどれも正しそうに見えるのが特徴です。無料模試30問の解説で、順番の根拠を確かめてみてください。

確認問題1

特定済みのリスクが起きた

(当サイトの独自問題)海外のベンダーから部品を調達するプロジェクトです。計画時に「輸送の遅れ」をリスクとして特定し、対応策として国内の代わりの業者を決めてありました。今朝、ベンダーから港の混雑で到着が3週間遅れると連絡が来ました。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:3。特定済みのリスクが起きたので、まずリスク登録簿に従って、決めておいた対応策を実行します。そのうえで課題として追いかけ、関係者に伝えます。

1:対応策が決まっているのに指示を待つのは遅すぎます。2:すでに計画があるので、新しい対応策を一から考える必要はありません。4:契約の確認は後でもよく、まず部品の確保が先です。

確認問題2

想定外の出来事

(当サイトの独自問題)システム移行の前日、データセンターのある地域で大規模な停電が起き、移行の作業ができなくなりました。リスク登録簿には、停電に関するリスクは載っていません。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:2。登録されていない出来事なので、決めておいた対応策はありません。まず影響を評価し、関係者と現実的な対処(ワークアラウンド)を決めます。

1:対応策が登録されていないので、実行できません。3:いつ復旧するか分からず、影響の評価もしていません。4:すでに起きているので、リスクとして分析するのは順番が違います(後で教訓として記録はします)。

確認問題3

リスクか課題か

(当サイトの独自問題)定例会で次の4つの報告がありました。このうち、リスク登録簿ではなく課題ログで管理すべきものはどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:4。すでに起きていて、作業を妨げている問題なので課題です。担当と期限を決めて、解決まで追いかけます。

1・2・3:いずれも「可能性がある」「かもしれない」「おそれがある」未来の出来事です。リスクとして確率と影響を評価し、対応を計画します。

よくある質問

リスクが起きたら、リスク登録簿から消しますか?

消さずに、状態を「発生」「課題に移行」などに更新します。何が起き、どう対応したかは教訓として役に立つので、記録として残します。

コンティンジェンシー計画とワークアラウンドの違いは?

コンティンジェンシー計画は、特定したリスクに対して前もって決めておく対応策です。ワークアラウンドは、想定していなかった出来事に対して、起きた後にとるその場の対処です。

課題と障害(インペディメント)の違いは?

障害は、チームの作業の進みを妨げているもので、課題の一種です。課題として記録し、取り除くよう働きかけます。スクラムでは、障害を取り除くよう働きかけることがスクラムマスターの役目の1つです。

出典・参考

  1. [1]PMI: PMP Examination Content Outline(2026年版・PDF)
  2. [2]PMI: PMP Examination Content Outline(2021年版・PDF)
  3. [3]Scrum Guides: The 2020 Scrum Guide

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記事の次は、本番形式の問題で。

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