PMPとIPAプロジェクトマネージャ試験の概要は?
PMPは、米国のPMI(Project Management Institute)が認定する資格です。予測型・アジャイル・ハイブリッドを横断して、プロジェクトを率いる力を問います。受験には、プロジェクトを率いた経験と35時間の研修が必要です。
IPAのプロジェクトマネージャ試験(PM)は、情報処理技術者試験の1つです。「情報処理の促進に関する法律」に基づき、経済産業省が認定する国家試験で、IPA(情報処理推進機構)が実施しています。対象は、システム開発のプロジェクトで、責任をもってプロジェクトマネジメントを担う人です。
大きな違いは、対象の業界です。IPAのPMはシステム開発のプロジェクトが前提で、PMPは業界を問いません。
| 比べる点 | PMP | IPAプロジェクトマネージャ試験 |
|---|---|---|
| 認定する団体 | PMI(米国に本部を置く専門家団体) | 経済産業省(実施はIPA) |
| 種類 | 国際的な民間資格 | 国家試験 |
| 対象の業界 | 業界を問わない | システム開発のプロジェクト |
| 受験の前提 | 率いた経験(大卒で36か月など)と35時間の研修を申請 | 経験を申請して審査を受ける手続きはない |
| 合格の有効期限 | 3年ごとに更新が必要(60PDU) | 有効期限なし |
試験の形式はどう違う?
試験の形式は、大きく違います。
PMP(2026年7月〜)
- 180問・240分(10分の休憩2回は別)
- 選択式・複数選択・ドラッグ&ドロップ・ケース問題・図表問題
- People 33%・Process 41%・Business Environment 26%
- 会場またはオンラインで受験
IPA PM(令和8年度)
- 科目A-1:50分・四肢択一30問
- 科目A-2:40分・四肢択一25問
- 科目B-1:90分・記述式(3問中2問)
- 科目B-2:120分・論述式(2問中1問)
出典:PMP Examination Content Outline – July 2026、IPA「プロジェクトマネージャ試験」
IPAのPMで特徴的なのは、科目B-2の論述式です。与えられたテーマについて、自分のプロジェクトの経験に照らして小論文を書きます。経験を言葉にして組み立てる力が問われます。
PMPは、全問が選択や操作で答える形式です。そのかわり、状況を読んで「次に何をするか」を選ぶ問題が中心です。正解が1つに見えにくい選択肢から、最も適切なものを選ぶ力が問われます。2026年7月からは、ケース問題と図表を読む問題が加わりました。
難易度はどちらが高い?合格率は?
IPAは、試験ごとの統計を公表しています。令和7年度秋期(2025年10月12日実施)のPMは、受験者8,511人のうち合格者1,219人で、合格率は14.3%でした。合格者の平均年齢は37.7歳です(IPA)。
一方、PMIはPMPの合格率を公表していません。また、PMPは経験と研修を満たした人だけが受けるので、受験者の層がそもそも違います。合格率の数字だけで比べるのは適切ではありません。ここでは、難しさの質の違いで比べます。
- IPAのPM:知識の幅(科目A)と、文章で考えを組み立てる力(科目B)が問われます。とくに論述式は、時間内に字数をそろえて書く練習が必要です。
- PMP:申請の時点で経験の要件を満たす必要があります。試験では長い問題文を読み、限られた時間で状況判断を続ける集中力が問われます。日本語で受ける場合も、訳語に慣れる必要があります。
文章を書くのが苦手な人はIPAのPMの論述で、長い状況文や訳語が苦手な人はPMPで、それぞれ苦労しやすい傾向があります。
PMPの難しさの中身と、ほかの資格との比べ方はPMPの難易度を他資格と比較で詳しく扱っています。
受験の機会はどう違う?
見落とされやすいのが、受けられる時期と回数の違いです。PMPは予約制で、IPAは年度ごとに決まった期間に実施します。
| 項目 | PMP | IPAプロジェクトマネージャ試験 |
|---|---|---|
| 受けられる時期 | 申請の承認から1年の間に、空いている日を予約 | 年度ごとの実施期間(令和8年度のPMは後期のみ) |
| 受けられる回数 | 1年の有効期間に3回まで(2回目から再び受験料) | 実施期間ごとに申し込みは1回だけ |
| 受ける場所 | テストセンター、またはオンライン | 試験会場のパソコン(CBT)。予約枠から日時を選ぶ |
| 受ける前の手続き | 経験と研修を申請し、承認を受ける | 申し込みだけ。経験の審査はない |
| 結果が分かる時期 | 試験の画面で暫定の結果。10営業日以内にレポート | 令和8年度の後期は、2027年6月頃に発表の予定 |
PMPは、不合格でも有効期間のうちに受け直せます。令和8年度のIPAのPMは後期の1回だけなので、落ちると次の年度の試験を待つことになります。2027年度からは新しい試験制度に移る予定なので、範囲と形式も確かめ直す必要があります。
費用と更新の有無は?
費用と、合格後の手間も違います。
| 項目 | PMP | IPAプロジェクトマネージャ試験 |
|---|---|---|
| 受験料 | 会員かどうかと地域で変わる。2026年10月時点で公式ページに金額の掲載なし | 7,500円(消費税込み、令和8年度) |
| 受験前の研修 | 35時間が必要(有効なCAPMがあれば記録が免除) | なし |
| 合格後の更新 | 3年ごとに60PDUと更新費用 | なし(有効期限なし) |
費用だけを見ると、IPAのPMの方がずっと負担は小さくなります。PMPの費用の内訳はPMPの受験料で、更新の手間はPMPの更新方法で詳しく扱っています。
IPAの試験はこれからどう変わる?
IPAの試験は、制度の切り替えの時期にあります。IPAの公式ページによると、次のとおりです(2026年10月時点)。
2027年1月27日〜2月27日
申込受付(後期)
CBT方式
2027年2月20日〜3月2日
科目A-1・A-2の実施期間
2027年3月16日〜3月28日
科目B-1・B-2の実施期間
2027年6月頃
後期試験の合格発表(予定)
2027年度〜
新しい試験制度へ移行(予定)
出典:IPA公式ページ。日程は変わることがあるため、申し込み前にIPAで確かめてください。
IPAは、現行の試験制度は2026年度の実施で終わり、2027年度から新しい試験制度に移る予定としています。新制度のサンプル問題とシラバスも公開されています。IPAのPMを目指す人は、受ける時期によって範囲と形式が変わることに注意してください。
なお、IPAのよくある質問では、過去の試験の合格に有効期限はなく、無効になることもないとしています。
勉強の範囲はどこまで重なる?
IPAが示すPMの「業務と役割」と、PMPの出題範囲(ECO 2026)を並べると、重なる論点と、片方で厚い論点が見えてきます。
重なる論点
- 計画づくりと変更への対応
- チームの編成と育成
- リスクへの対応
- ステークホルダーとのコミュニケーション
- 実績の分析と改善
PMPで厚い
- アジャイルとハイブリッド(出題の約6割)
- ガバナンスとコンプライアンス
- ビジネス価値と組織の変化
- AIやサステナビリティ
IPAのPMで厚い
- システム開発のプロジェクトが前提
- 経験を論述にまとめる力(科目B-2)
- 記述式で答えを短くまとめる力(科目B-1)
当サイトの整理。IPAの論点は、IPAの試験区分のページの「業務と役割」をもとにしています。
重なる論点が多いので、2つ目の勉強は1つ目より楽になります。ただし、IPAの論述は書く練習が別に要ります。PMPのアジャイルとビジネス環境の論点も、IPAの勉強だけでは足りません。
評価される場面はどう違う?
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)は、プロジェクトマネージャ(IT)について、特に学歴や資格は必要とされないとしています。そのうえで、能力を示すものとして、IPAのプロジェクトマネージャ試験とPMPの両方を挙げています。
どちらが上ということはなく、評価される場面が違うと考えるのが実際的です。資格は、経験と実績を伝える材料の1つです。
- IPAのPMが評価されやすい:国内のSIer、官公庁や自治体の案件、国内企業の情報システム部門
- PMPが評価されやすい:外資系企業、海外との案件、IT以外の業界のプロジェクト、アジャイルの比重が大きい職場
国内の公的な案件や、国内企業どうしの取引では、国家試験であるIPAの試験の方が説明しやすい場面があります。外資系企業や海外の顧客には、国際的に通じるPMPの方が説明しやすくなります。
両方取るなら、どの順番がいい?
両方を取る人も少なくありません。順番の考え方は次のとおりです。
- 経験がまだ浅い:IPAのPMを先に。経験の申請が不要で、知識と論述の力を固められる
- 経験の要件を満たしていて、国際的な案件がある:PMPを先に。PMPで学ぶアジャイルやステークホルダーの考え方は、IPAの論述の材料にもなる
- IPAの新制度の中身を見てから決めたい:2027年度からの新制度のシラバスを確かめ、PMPと重なる範囲を見て順番を決める
ほかの資格も含めて比べたい人はプロジェクトマネジメントの資格一覧を、PMIの入門資格との違いはPMPとCAPMの違いをご覧ください。PMPの問題の形式は、無料模試30問で確かめられます。