10の知識エリアとは?一覧で確認
知識エリアは、「プロジェクトで何を管理するか」で知識を10の分野に分けたものです。PMBOK®ガイド第6版までの中心的な枠組みで、今でも多くの教材や社内研修がこの分け方を使っています。
| 知識エリア | 英語 | 何を管理するか |
|---|---|---|
| 統合マネジメント | Integration | 全体をまとめる。憲章・計画書・変更管理・終結 |
| スコープ・マネジメント | Scope | 何を作り、何を作らないか。要求・WBS |
| スケジュール・マネジメント | Schedule | いつまでに作るか。作業・順序・所要期間 |
| コスト・マネジメント | Cost | いくらで作るか。見積り・予算・EVM |
| 品質マネジメント | Quality | どの水準で作るか。品質の計画・マネジメント・コントロール |
| 資源マネジメント | Resource | 人・設備・材料をどう集め、どう生かすか |
| コミュニケーション・マネジメント | Communications | 誰に何をいつどう伝えるか |
| リスク・マネジメント | Risk | 不確かなことにどう備えるか |
| 調達マネジメント | Procurement | 外部から何をどう買うか。契約 |
| ステークホルダー・マネジメント | Stakeholder | 関係者をどう巻き込むか |
5つのプロセス群とは?
第6版は、10の知識エリアを「時間の流れ」でも切っていました。それが5つのプロセス群で、立ち上げ(Initiating)、計画(Planning)、実行(Executing)、監視・コントロール(Monitoring and Controlling)、終結(Closing)の5つです。知識エリアとの掛け合わせで、合計49のプロセスがありました。
プロセス群ごとの数を見ると、計画が24と約半分を占めます。
- 立ち上げ2個
- 計画24個
- 実行10個
- 監視・コントロール12個
- 終結1個
49のうち24が計画。立ち上げは2つ、終結は1つだけ。
| 知識エリア | 立ち上げ | 計画 | 実行 | 監視・コントロール | 終結 | 計 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 統合 | 1 | 1 | 2 | 2 | 1 | 7 |
| スコープ | - | 4 | - | 2 | - | 6 |
| スケジュール | - | 5 | - | 1 | - | 6 |
| コスト | - | 3 | - | 1 | - | 4 |
| 品質 | - | 1 | 1 | 1 | - | 3 |
| 資源 | - | 2 | 3 | 1 | - | 6 |
| コミュニケーション | - | 1 | 1 | 1 | - | 3 |
| リスク | - | 5 | 1 | 1 | - | 7 |
| 調達 | - | 1 | 1 | 1 | - | 3 |
| ステークホルダー | 1 | 1 | 1 | 1 | - | 4 |
| 計 | 2 | 24 | 10 | 12 | 1 | 49 |
表から読み取れる特徴は3つです。立ち上げは「プロジェクト憲章の作成」と「ステークホルダーの特定」の2つだけ。終結は「プロジェクトやフェーズの終結」の1つだけ。スコープ・スケジュール・コストには、実行のプロセスがありません。
なお、プロセス群は工程(フェーズ)と同じ意味ではありません。1つのフェーズの中でも、計画・実行・監視が何度も繰り返されます。この区別は旧試験でよく問われた論点です。
第7版・第8版では知識エリアはどうなった?
第7版(2021年)は、プロセスと知識エリアの形をやめ、12の原則と8つのパフォーマンス領域で組み立て直しました。領域は「ステークホルダー」「チーム」「計画」「デリバリー」「測定」「不確かさ」など、働き方の切り口でした。
第8版(2025年)は、7つのパフォーマンス領域(ガバナンス、スコープ、スケジュール、財務、ステークホルダー、資源、リスク)が軸です。そこに40のプロセスと、5つの重点分野(立上げ・計画・実行・監視・コントロール・終結)を組み合わせています(名前は第8版日本語版の目次のもの)。管理対象の切り口が戻ったので、第6版の知識エリアに近い見た目です。
| 第6版の知識エリア | 第8版で近い領域 |
|---|---|
| 統合 | ガバナンス(立上げ・計画書の統合・変更の評価・終結などのプロセス) |
| スコープ | スコープ |
| スケジュール | スケジュール |
| コスト | 財務 |
| 品質 | ガバナンス(品質保証のマネジメント)と、原則「プロセスと成果物に品質を組み込む」 |
| 資源 | 資源 |
| コミュニケーション | ステークホルダー(コミュニケーションの計画・マネジメント・監視のプロセス) |
| リスク | リスク |
| 調達 | ガバナンス(調達戦略の計画)と付属文書「調達」 |
| ステークホルダー | ステークホルダー |
対応は一対一ではないので、表は目安として見てください。第7版の中身は PMBOK第7版とは?、第8版の変更点は PMBOK第8版の変更点、領域ごとの説明は パフォーマンス・ドメインとは? で解説しています。
新しい試験の勉強に知識エリアは必要?
結論は「枠組みの暗記はいらないが、中身の知識は必要」です。
2026年7月からの ECO(2026年版)は、People・Process・Business Environment の3領域と26のタスクで出題範囲を決めています。「調達マネジメントの問題が何問」という知識エリア別の出題ではありません。また、「〇〇プロセスのアウトプットはどれか」のような暗記問題より、状況に応じた判断を問う問題が中心です。
一方で、ECO の Process 領域には、スコープ、スケジュール、財務、品質、調達、資源といったタスクが並んでいます。知識エリアで学ぶ中身(WBS の作り方、クリティカル・パス、EVM、契約の種類、リスク対応など)は、今の試験でもそのまま使います。
- 覚えなくてよい:49のプロセス名、各プロセスのインプット・アウトプットの一覧
- 理解しておく:各分野の主な道具と、それを使う場面(例:変更は変更管理の手順に乗せる)
- ECO に合わせて補う:ガバナンス、コンプライアンス、持続可能性、外部環境の変化など、旧来の知識エリアで手薄だった論点
用語でつまずいたら プロジェクトマネジメント用語集 で確認できます。
知識エリアの覚え方は?
実務や他の資格試験(情報処理技術者試験など)で知識エリアを使う人向けに、覚え方のコツを3つ紹介します。
- 「何を・いつ・いくらで・どの水準で」の4つを先に押さえる:スコープ・スケジュール・コスト・品質。プロジェクトの基本的な制約です。
- 「誰と・何を使って」をつなげる:資源・コミュニケーション・ステークホルダー・調達。人と外部とのやりとりです。
- 「不確かさ」と「全体」で締める:リスクと統合。統合は他の9つを束ねる役なので、最後に置くと全体像がつかめます。
プロセス群との関係は、上の表の「立ち上げ2・終結1」と「計画が約半分」だけ覚えておけば十分です。あとは問題を解きながら「この場面はどの分野の話か」を意識すると、自然に定着します。状況問題の練習は 無料模試30問 で始められます。
確認問題1
変更要求の扱い
(当サイトの独自問題)予測型のプロジェクトの実行中に、顧客から画面のデザイン変更を頼まれた。変更するとテストの作業が増え、予算にも影響しそうだ。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
正解と解説を見る
正解:4。予測型では、スコープ・スケジュール・コストに影響する変更は、影響を分析したうえで正式な変更管理の手順で判断します。
1:手順を通す前に変更を始めており、スコープ・クリープの原因になります。2:影響を分析する前に断るのは早すぎます。3:品質を犠牲にする勝手な判断です。
確認問題2
プロセス群とフェーズ
(当サイトの独自問題)PMBOK®ガイド第6版の5つのプロセス群についての説明として、最も適切なものはどれか。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
正解と解説を見る
正解:2。プロセス群はフェーズとは別の考え方で、1つのフェーズの中でも何度も繰り返されます。
1:プロセス群とフェーズは同じではありません。3:プロセス群は10の知識エリアすべてにまたがります。4:計画・実行・監視の繰り返しは、アジャイルのイテレーションの中でも起きます。
確認問題3
勉強の重点
(当サイトの独自問題)PMP 受験を準備している受験者が、49のプロセスのインプット・アウトプットの一覧表を毎日暗記している。一方、模試ではケース問題と Business Environment 領域の正答率が低い。最も適切な助言はどれか。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
正解と解説を見る
正解:3。今の試験はタスクに沿った状況判断が中心です。弱いケース問題と Business Environment 領域を、演習で重点的に補います。
1:暗記を続けても弱点は改善しません。2:用語や中身の知識は必要です。4:旧版の問題は新しい形式と出題比率に合いません。