スプリントプランニングの目的は?
スプリントプランニングは、スプリントの最初に行うイベントです。そのスプリントで行う作業の計画を立てます。スクラムガイド(2020年版)では、計画はスクラムチーム全体の協働で作るとされています。必要に応じて、チームの外の人を助言のために招くこともできます。
時間の上限(タイムボックス)は、1か月のスプリントで最大8時間です。スプリントが短ければ、通常はそれより短く終えます。タイムボックスには、話し合いが使える時間いっぱいまで延びるのを防ぐ効果もあります(パーキンソンの法則)。
プロダクトオーナーは、プロダクトバックログの中で最も重要なアイテムを説明できるよう準備して臨みます。それがプロダクトゴールにどうつながるかも説明します。準備の中心は、事前のリファインメントです。
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なぜ(Why)
このスプリントがなぜ価値があるか。スプリントゴールを決める
- 2
何を(What)
どのアイテムを選ぶか。開発者がプロダクトオーナーと話して選ぶ
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どうやって(How)
選んだアイテムをどう完成させるか。開発者が作業に分ける
ゴール・選んだアイテム・実現の計画の3つを合わせたものがスプリントバックログです。
誰が何をする?(参加者の役割)
参加するのはスクラムチーム全員です。役割ごとに、することとしないことを整理します。
| 参加者 | すること | しないこと |
|---|---|---|
| プロダクトオーナー | 価値の高いアイテムとゴールの案を示し、質問に答える | 選ぶ量や作り方を決める |
| 開発者 | 量を見積もってアイテムを選び、作業に分ける | 実績を大きく超える量を引き受ける |
| スクラムマスター | 時間内に3つのことが決まるよう、進め方を支える | 量や担当を決める |
| 招かれた専門家(任意) | 技術や業務について助言する | 計画を決める |
PMP の問題で「PMが量や担当を決める」選択肢が出たら、まず疑います。アジャイルの場面のPMは、スクラムマスターと同じく支援役です。PMがチームに任せる範囲は自己組織化チームの記事で整理しています。プロダクトオーナーの準備についてはプロダクトオーナーの役割を参照してください。
スプリントゴールはどう決める?
スプリントゴールは、そのスプリントの唯一の目的です。プロダクトオーナーが、今回のスプリントでプロダクトの価値をどう高められるかを提案します。それをもとに、スクラムチーム全体で話し合ってゴールを決めます。ゴールは、スプリントプランニングが終わるまでに確定させます。
良いスプリントゴールと、そうでないものの例を比べてみます。
| 例 | 評価 | 理由 |
|---|---|---|
| 「会員が予約をスマートフォンだけで完了できるようにする」 | 良い | 利用者にとっての価値が一文で分かり、アイテムの取捨選択の基準になる |
| 「チケット #101・#102・#105 を終わらせる」 | 弱い | 作業の一覧で、目的が分からない。状況が変わったときに判断できない |
| 「予約・決済・通知・管理画面をすべて改善する」 | 弱い | 目的が複数に分かれ、集中できない |
スプリントゴールは開発者の確約(コミットメント)です。ただし、ゴールを達成するために必要な作業の中身は柔軟に変えられます。作業が予想と違ったら、開発者はプロダクトオーナーと話して、ゴールを変えずに範囲を調整します。
どのアイテムをどれだけ選ぶ?
開発者は、プロダクトオーナーと話しながら、プロダクトバックログの上位からスプリントに含めるアイテムを選びます。どれだけ選ぶかを決めるのは開発者です。PMやプロダクトオーナーが量を押し付けるものではありません。
判断の材料は、過去の実績、今回の容量、完了の定義(DoD)の3つです。スクラムガイドも、これらを知るほど自信を持って予測できると説明しています。過去の実績には、ベロシティ(1スプリントで完了したポイントの合計)を使うことが多いです。
『アジャイル実務ガイド』も、休日や休暇でチームの能力が下がるときは、その能力に見合う量だけを計画するとしています。
今回の目安 = 過去の平均ベロシティ × 今回の稼働の割合
- 1過去3スプリントの完了ポイント:30・34・32
- 2平均ベロシティ = (30 + 34 + 32) ÷ 3 = 96 ÷ 3 = 32
- 3今回は開発者5人のうち1人が半分休暇 → 稼働は 4.5人 ÷ 5人 = 0.9
- 4今回の目安 = 32 × 0.9 = 28.8 → 約29ポイント
目安は約29ポイント。開発者はこれを参考に、スプリントゴールに必要なアイテムを選びます。
当サイトの計算例。ベロシティの詳しい使い方は別記事で扱います。
目安を大きく超えて詰め込むと、スプリントの終わりに未完了のアイテムが残りがちです。逆に、ゴールに必要なアイテムが目安に収まらない場合は、プロダクトオーナーとゴールの範囲を話し合います。
どうやって実現するか(タスク分解)は誰が決める?
選んだアイテムを、完了の定義を満たすインクリメントにするための作業の計画は、開発者が決めます。スクラムガイドでは、アイテムを完了させる方法は開発者だけの判断とされています。
多くのチームは、アイテムを1日以内で終わる程度の小さな作業(タスク)に分けます。分けておくと、デイリースクラムで進み具合を確かめやすく、問題に早く気づけます。最初の数日分を詳しくし、残りは進めながら分けていく方法もあります。
計画は、スプリント中も変わります。スクラムガイドでは、スプリントバックログは学びに応じて開発者が更新するものとされています。ゴールは変えず、作業の計画を直していきます。
作業の担当者を、プランニングの場でPMが割り振ることはしません。誰が何をするかは、開発者が日々の状況を見ながら決めます。
当日までに何を準備する?(チェックリスト)
プランニングを時間内に終えるには、前もっての準備が欠かせません。次の項目がそろっているか確かめます(当サイトのチェックリスト)。
- 上位のアイテムが、1スプリントで終わる大きさに分かれている
- 上位のアイテムに受入基準が書かれ、開発者の見積もりが済んでいる
- 休暇・祝日・研修などで減る稼働を、把握している
- 前回のレトロスペクティブで決めた改善が、分かっている
- 完了の定義(DoD)を、全員が確かめられる
- プロダクトオーナーが、今回高めたい価値の案を持っている
スプリントプランニングでよくある失敗は?
- スプリントゴールがない: アイテムを並べるだけで終わり、途中で判断の基準がなくなる。
- 詰め込みすぎ: 関係者の期待に合わせて、実績を超える量を選ぶ。終盤に品質を削る原因になる。
- リファインメント不足: アイテムが大きすぎ・あいまいで、プランニングが長引く。
- 外から量を決める: PMや上司が「今回はこれだけやって」と押し付け、開発者の確約にならない。
- プロダクトオーナーが来ない: 質問に答える人がおらず、何を優先するか決められない。
- 計画を固定と考える: 一度決めた作業の計画を変えてはいけないと考え、学んだことを生かせない。
どれも、事前のリファインメントと役割の分担で防げます。何を作るかはプロダクトオーナー、どれだけ・どうやってかは開発者です。スプリント中の毎日の見直しはデイリースクラムの目的と進め方で扱います。
確認問題1
スポンサーが量を増やすよう求める
(当サイトの独自問題)スプリントプランニングで、開発者は過去の実績から約30ポイント分のアイテムを選びました。同席したスポンサーが「市場の競争が激しいので、今回は45ポイント分やってほしい」と求めています。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
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正解:3。どれだけ選ぶかは、実績と容量に基づいて開発者が決めます。スポンサーには根拠を示し、プロダクトオーナーとともに、価値の高いものから届ける方法を話し合います。
1:話し合いの形をとっても、実績を超える量を目標にすれば、未完了や品質の低下を招きます。2:持続可能なペースを崩します。4:スプリントの長さを場当たりで変えると、実績を比べられなくなります。
確認問題2
スプリントゴールが決まらない
(当サイトの独自問題)スプリントプランニングで、チームは上位10個のアイテムを選び終えました。しかし、それらに共通する目的がなく、スプリントゴールが決まりません。開発者の一人は「ゴールは形式なので省略してよい」と言っています。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
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正解:2。スプリントゴールは、スプリントの唯一の目的です。プロダクトオーナーの提案をもとに、チーム全体で決めます。ゴールに合わせて、選ぶアイテムを見直すこともあります。
1:目的がなく、状況が変わったときの判断基準になりません。3:ゴールは、スプリントプランニングが終わるまでに決めるものです。4:ゴールはチームで合意するもので、PMが決めて伝えるものではありません。
確認問題3
休暇の多いスプリント
(当サイトの独自問題)次の2週間のスプリントには、祝日が2日あります。開発者6人のうち2人は、研修で3日ずつ抜けます。過去の平均ベロシティは36ポイントで、チームはいつもどおり36ポイント分を選ぼうとしています。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。
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正解:2。過去の実績に加えて、今回の容量(稼働できる日数と人)を考えるのが計画の基本です。PMは気づいた点を伝え、開発者の判断を促します。2週間を10営業日とすると、稼働は6人 × 10日 = 60人日から、祝日で48人日、研修でさらに6人日減って42人日(約7割)です。目安は 36 × 0.7 ≒ 25ポイントになります。
1:容量の変化を無視しており、未完了が出やすくなります。3:持続可能なペースを崩します。4:研修は組織の予定で、チームの計画のために動かすのは筋が違います。まず計画の側で調整します。
スプリントの計画に関わる問題は、タスク別ドリルの Process 8(スケジュール)で練習できます。