スクラムマスターの資格にはどんな種類がある?
スクラムマスター向けの代表的な資格は、次の3つです。どれも米国の団体の民間資格で、日本の国家資格ではありません。
- CSM(Certified ScrumMaster):Scrum Alliance の資格。認定スクラムトレーナーの研修を受けてから試験を受ける
- PSM I(Professional Scrum Master I):Scrum.org の資格。研修は任意で、試験に合格することが条件
- RSM(Registered Scrum Master):Scrum Inc. の資格。2日間の研修を受けてから試験を受ける。日本語の研修もある
PMIにもアジャイルの資格(PMI-ACP)がありますが、スクラムに限らずアジャイル全般を扱います。詳しくはPMI-ACPとは?で解説しています。
役割そのものを先に知りたい人は、スクラムマスターの役割を読むと、資格の違いが理解しやすくなります。
CSM・PSM I・RSMの違いは?費用と試験で比べる
一番の違いは、研修の受講が前提かどうかです。CSMとRSMは研修とセット、PSM Iは試験だけで取れます。
| 比べる点 | CSM(Scrum Alliance) | PSM I(Scrum.org) | RSM(Scrum Inc.) |
|---|---|---|---|
| 研修 | 認定スクラムトレーナーの研修(16時間)が必須 | 任意(受けなくても受験できる) | 2日間の研修が前提 |
| 試験 | 50問・60分。37問(74%)以上で合格 | 80問・60分。85%以上で合格 | 研修後30日以内に、オンラインで受験 |
| 日本語 | 試験を日本語で受けられる | 試験を日本語で受けられる | 日本語の研修がある |
| 費用 | 研修の受講料に試験2回分を含む(講師が価格を決める) | 1回200米ドル | 研修費に試験料を含む(認定研修(2日間程度)は20万円台が目安) |
| 更新 | 2年ごと。学習単位(SEU)が必要 | なし(生涯有効・年会費なし) | 最初の有効期限は1年。更新試験と更新費用が必要 |
CSMは、研修で講師や他の受講者と演習できるのが強みです。研修の後、90日以内なら2回まで追加の費用なしで試験を受けられます。
PSM Iは、独学で受けられ、費用を抑えやすい資格です。合格点が85%と高く、スクラムガイドを正確に理解しているかが問われます。受験の権利(パスワード)に期限はありませんが、1回分です。不合格なら、もう一度200米ドルを払います。
RSMは、スクラムの共同考案者が作った研修を、2日間の体験型の演習で学べます。更新は1年・5年・永年のプランから選び、期限から60日の猶予を過ぎると失効して研修の受け直しになります。
選び方の目安は、費用を抑えて独学で取りたいならPSM I、研修で体験しながら学びたいならCSMかRSMです。会社の研修として受けるなら、更新の手間(2年ごとのSEU、1年ごとの更新試験)まで含めて比べます。
試験の準備はどう違う?
準備のしかたも、研修が前提かどうかで変わります。
- CSM・RSM:研修の中で、スクラムの役割・イベント・作成物を演習しながら学ぶ。試験は研修で扱った内容の復習が中心になる
- PSM I:教材はスクラムガイドが中心。ガイドは短い文書だが、言葉の意味を正確に押さえないと85%に届かない。「誰が決めるか」「いつ行うか」を、役割とイベントごとに確かめる
- PMP:スクラムの知識に加えて、予測型の計画、契約、リスク、ガバナンスなど広い範囲を扱う。状況を読んで「次に何をするか」を選ぶ問題が中心
スクラムの資格で身に付けた「役割の責任の区別」は、PMPのアジャイルの問題でも役立ちます。たとえば、バックログの優先順位を決めるのはプロダクトオーナーで、プロジェクト・マネジャーやスクラムマスターではありません。
用語の違いにも注意します。スクラムガイドの日本語版の「完成の定義」を、当サイトではPMIの用語に合わせて「完了の定義(DoD)」と書きます。同じものを指します。
スクラムの資格とPMPはどう違う?
スクラムの資格は、スクラムという1つのフレームワークの理解を証明します。PMPは、プロジェクト全体を率いる力を証明します。対象とする範囲がまったく違います。
- PMP予測型・アジャイル・ハイブリッドを横断。契約・コスト・ガバナンスまで広い
- PMI-ACPアジャイル全般(スクラム・かんばん・リーンなど)中
- CSM・PSM I・RSMスクラムのルール・役割・イベント狭く深い
当サイトの整理。幅は範囲の目安で、難易度の差を表すものではありません。
受験の条件も違います。2026年7月からのPMPは、大卒なら、過去10年以内に率いた経験36か月と35時間の研修が必要です(ECO 2026)。スクラムの入門資格には、このような経験の要件はありません。
教材の性質も違います。スクラムの資格は、スクラムガイドという1つの文書を軸に学べます。PMPの試験は、特定の1冊に沿って作られていないとECOに明記されています。
一方で、PMPの試験もアジャイルを避けては通れません。ECO 2026では、出題の約4割が予測型、残りの約6割がアジャイルとハイブリッドです。スクラムの役割やイベントの知識は、PMPでもそのまま役立ちます。PMPで問われるアジャイルの範囲はPMPのアジャイル対策で確認できます。
仕事で評価されやすいのはどれ?
どの資格が評価されるかは、応募する役割で変わります。資格ごとの評価を比べた公的な統計はないため、ここでは役割と資格の対応で考えます。
- スクラムマスター・アジャイルコーチの求人:CSM・PSM・RSMが直接の証明になる。Scrum Alliance も、求人の条件にCSMを挙げる雇用主があるとしている
- プロジェクト・マネジャー・PMOの求人:PMPが中心。アジャイルの案件が多い会社では、スクラムの資格があると加点になりやすい
- 受託開発で顧客に体制を示す場面:資格は「誰が何を担うか」を示す材料になる。役割に合った資格を持つ人を配置すると説明しやすい
どの資格も、それだけで仕事ができる証明にはなりません。面接では、実際にスクラムを回した場面や、うまくいかなかった場面の話が聞かれます。資格は、その話を短く伝えるための入口と考えるのが現実的です。
組み合わせて取るなら、どの順番がいい?
今の立場ごとに、無理のない順番を示します。
- 1
開発チームでスクラムを始めたばかり
まずPSM I、またはCSM・RSMで基礎を固める
- 2
スクラムマスターとして1〜2年
上位のスクラム資格かPMI-ACPへ
- 3
複数チーム・予算・契約も見るようになった
PMPで全体を率いる力を示す
当サイトの提案。経験の要件を満たした時点で、順番を入れ替えてもかまいません。
すでにプロジェクトを率いた経験が3年以上ある人は、PMPを先に取る選択も十分にあります。有効なPMPがあれば、PMI-ACPの経験の要件も満たせるからです。
PMPの勉強の進め方はPMPの勉強法にまとめています。アジャイルの問題が自分にどれくらい解けるかは、無料模試30問で確かめられます。