PMIはなぜ根本原因を重視する?
症状だけを抑えると、同じ問題がまた起きるからです。不具合を毎回手直ししても、不具合を生む仕組みが残っていれば、手直しの費用と時間がかかり続けます。
ECO 2026も、根本原因の考え方をいくつかのタスクで扱っています。People Task 1は「共通のビジョンを作る」です。ここには、状況を分解して、ビジョンの誤解の根本原因を見つける行動が含まれます。
Process Task 7(品質)には、継続的な改善が含まれます。Business Environment Task 6は継続的改善で、教訓の活用や組織のプロセス資産の更新を含みます。
つまり根本原因は、品質の問題だけでなく、人・コミュニケーション・プロセスのあらゆる場面で問われる考え方です。
症状への対処と原因への対処はどう違う?
同じ状況に対する2つの対処を並べると、違いがはっきりします。
症状への対処
- 品質見つかった不具合を手直しする
- スケジュール遅れを残業で取り戻す
- ビジョン誤解した人に説明し直す
- 会議会議の時間を延ばす
原因への対処
- 品質不具合を生む工程の原因を探る
- スケジュール遅れを生む見積もりや依存関係を見直す
- ビジョン誤解が生まれる伝え方を見直す
- 会議会議が長引く理由を探り、進め方を変える
当サイトの整理。
ただし、症状への対処が不要なわけではありません。顧客に不良品が届きそうなら、まず止めて手直しします。そのうえで原因を探ります。
つまり、目の前の被害を抑える行動と、再発を防ぐ行動の両方が必要です。問いが「最も適切」なら、再発を防ぐほうが選ばれやすくなります。
なぜなぜ分析はどう進める?(例)
なぜなぜ分析は、「なぜ」を繰り返して原因の原因をたどる手法です。架空の例で流れを見てみます。
- 1
なぜ1:不具合が出る
データの項目の形式が、送る側と受ける側で違う
- 2
なぜ2:形式が違う
インターフェースの仕様書が、古いまま使われている
- 3
なぜ3:古いまま使われる
仕様の変更が、もう一方のチームに伝わっていない
- 4
なぜ4:伝わらない
仕様を変えたときに知らせる手順が決まっていない
- 5
対策
仕様変更の通知と確認の手順を決め、教訓として残す
「担当者の不注意」で止めず、仕組みの原因まで掘り下げます。
当サイトの架空の例。「なぜ」は5回にこだわらず、手を打てる原因に届くまで続けます。
途中で「担当者が確認を怠った」という答えが出ても、そこで止めません。人を替えても、同じ仕組みなら同じことが起きるからです。
原因を探る手法には何がある?
根本原因を探る代表的な手法を整理しました。
| 手法 | やり方 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| なぜなぜ分析(5 Whys) | 「なぜ」を繰り返して、原因の原因をたどる | 原因の流れが1本の、比較的単純な問題 |
| 特性要因図(フィッシュボーン図) | 人・方法・材料・設備などの分類ごとに、原因の候補を洗い出す | 原因の候補が多く、整理が必要な問題 |
| パレート図 | 原因ごとの件数を大きい順に並べる | どの原因から手を打つか、優先順位を付ける |
| 散布図 | 2つの量の関係を点で表す | ある要因と結果に関係があるかを確かめる |
| レトロスペクティブ | チームで反復をふりかえり、改善点を決める | アジャイルのチームの進め方の問題 |
試験では、手法の名前より「原因を探る行動を選べるか」が問われます。「特性要因図を作る」でも「チームと原因を分析する」でも、根本原因に向かう選択肢なら方向は合っています。特性要因図の書き方は特性要因図とはで説明しています。
どの手法でも、外せない点が3つあります。人を責めずに仕組みを見ること、事実とデータで確かめること、原因は1つとは限らないと考えることです。
ビジョンの誤解の原因を探るとは?(2026年版ECO)
2026年版のECOでは、People Task 1が「共通のビジョンを作る」になりました。主要なステークホルダーとビジョンを共有し、広め、最新に保つ行動が含まれます。そして、状況を分解してビジョンの誤解の根本原因を見つけることも含まれています。
たとえば、チームが顧客の求めるものと違う方向で作業を進めていたとします。メンバーに説明し直すのは、症状への対処です。根本原因を探るなら、ビジョンがどこで、なぜずれたのかを確かめます。
最初の共有が足りなかったのか、途中でビジョンが変わったのに伝わっていなかったのか、部署ごとに解釈が違ったのか、です。ビジョンの共有そのものはプロジェクトのビジョンを共有する方法で扱っています。
根本原因の問題はどう見分ける?
問題文に次の手がかりがあれば、根本原因に向かう選択肢を探します。
- 「繰り返し」「続けて」「毎回」「何度も」:同じ問題が起きている。
- 「手直ししているが」「そのたびに対応しているが」:症状への対処はすでにしている。
- 「最も適切な」「長期的に」:再発を防ぐ行動が問われている。
- 「教訓」「今後のプロジェクト」:組織のプロセス資産の更新まで含めて考える。
状況問題の全体の手順は状況問題の解き方に、予測型での差異の扱いは予測型の問題の考え方にまとめています。根本原因の問題を含めて本番の形式で試すなら、無料模試30問が使えます。
確認問題1
テストで同じ種類の不具合が続く
(当サイトの独自問題)システム開発で、結合テストのたびに、データの受け渡しに関する同じ種類の不具合が見つかっている。チームは毎回すぐに直しているが、次のテストでまた似た不具合が出る。プロジェクト・マネジャーが最も適切に行うことはどれか。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
正解と解説を見る
正解:2。同じ種類の不具合が続くのは、仕組みに原因があるサインです。インターフェースの仕様、設計の手順、確認の方法など、原因の候補をチームと洗い出します。
1:テストを手厚くしても、不具合が生まれる原因は残ります。3:修正の管理は大切ですが、症状への対処です。4:原因を探る前に、外部の確認に頼っています。
確認問題2
チームがビジョンと違う方向に進んでいた
(当サイトの独自問題)スプリントレビューで、プロダクトオーナーが「この機能は顧客が求めているものと違う」と指摘した。最近の2回のスプリントでも、同じような指摘があった。チームはそのたびに作り直している。プロジェクト・マネジャーが行うべきことはどれか。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
正解と解説を見る
正解:4。同じ指摘が3回続いているので、作り直しより、ビジョンの理解がずれる原因を探ります。ECO 2026のPeople Task 1にある「ビジョンの誤解の根本原因を見つける」行動です。
1:説明し直すのは症状への対処で、なぜずれたかがわからないままです。2:修正の管理はしていますが、ずれが繰り返す原因には手を打っていません。3:要望を確かめ直して作り直しても、ずれが生まれる原因が残れば、同じことが起きます。
確認問題3
毎月の報告が遅れる
(当サイトの独自問題)ある部門からの月次の進捗データの提出が、この半年で4回締め切りに遅れた。そのたびにプロジェクト・マネジャーが催促して、何とか報告をまとめている。プロジェクト・マネジャーが最も適切に行うことはどれか。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
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正解:3。繰り返し遅れているので、まず担当者と話して理由を確かめます。データの集め方に手間がかかるのか、締め切りが部門の繁忙期と重なるのかなど、原因によって打つ手が変わります。
1:締め切りをずらしても、遅れる原因は残ります。2:理由を確かめる前に上に上げ、人を責める形になっています。4:催促を仕組みにしても、症状への対処にとどまります。