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WBSとは?作り方の手順と例|100%ルールとワークパッケージ

WBS(作業分解構成図)の意味と作り方を、研修ポータルの例で解説。成果物で分ける理由、100%ルール、ワークパッケージの大きさ、WBS辞書、ガントチャートとの違いと、PMP試験の確認問題3問つき。

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執筆
プロマネ模試 編集部
まず結論

この記事の要点

  • WBSは、プロジェクトの成果物と作業の全体を、階層に分けて整理した図(または一覧)です。
  • 分解の軸は「作業の手順」ではなく「成果物」が基本です。上の要素の中身は、下の要素を足すとちょうど100%になるようにします(100%ルール)。
  • 最下層のワークパッケージは、見積もり・担当の割当て・進捗管理ができる大きさで止めます。
  • WBSに無い作業はスコープ外です。WBS辞書で、各要素の中身と完成条件を補います。

WBSとは?何のために作る?

WBS は Work Breakdown Structure の略で、「作業分解構成図」と訳されることもあります。プロジェクトが作るべき成果物と、そのための作業の全体を、階層に分けて整理したものです。

目的は3つです。1つ目は、スコープの全体を見える形にして、抜けと重複を防ぐこと。2つ目は、見積もり・スケジュール・担当の割当ての土台を作ること。3つ目は、関係者と「これがプロジェクトの全部です」と合意する材料にすることです。

PMP の新しい ECO(2026年版)では、「スコープを分解する」が Process タスク2のイネーブラーです。2021年版では、その例として WBS とバックログが名指しされていました。スコープ全体の流れはスコープマネジメントの記事で解説しています。

WBSの作り方は?手順を例で解説

ここでは架空の例として、「社内研修ポータルの構築」で作り方を示します。

  1. スコープ記述書を確認する:主要な成果物、除外事項、受入基準を確かめます。WBS はスコープ記述書の中身を分解したものなので、ここが出発点です。
  2. 第1階層の切り口を決める:成果物ごとか、フェーズごとかを選びます。どちらでも、プロジェクトマネジメントの作業を1つの要素として入れます。
  3. 成果物を分解する:各要素を、より小さな成果物に分けます。動詞(〜する)ではなく名詞(〜書、〜機能)で書くと、成果物の分解になりやすくなります。
  4. ワークパッケージで止める:見積もりと担当の割当てができる大きさになったら、それ以上は分けません。
  5. 番号を振り、WBS辞書を作る:各要素に識別番号を付け、中身・完成条件・担当を辞書にまとめます。
  6. チームと関係者で確認する:作業を知る人と一緒に見直し、抜けと重複をつぶします。承認された WBS は、スコープ・ベースラインの一部になります。

WBSの例:図と番号付きの一覧で見る

上の手順で作った例を、2つの形で示します。WBS は、階層の図でも、番号付きの一覧(アウトライン)でも表せます。中身は同じです。表計算ソフトで管理するなら、一覧の形が扱いやすいでしょう。

WBSの例:社内研修ポータルの構築(架空)
  1. 0 研修ポータルプロジェクト全体(100%)レベル0
  2. 1 プロジェクトマネジメント計画書、進捗報告、会議運営
  3. 2 要件定義書業務要件、画面一覧、非機能要件
  4. 3 ポータル機能3.1 受講登録 / 3.2 動画視聴 / 3.3 受講履歴
  5. 4 試験成果物試験計画書、試験結果報告書
  6. 5 移行と教育利用者マニュアル、管理者研修

架空の例。第1階層を成果物で切った場合

架空の例。規模が大きければ、第2階層の下にさらに階層を作る
番号要素(名詞で書く)種類
1プロジェクトマネジメント第1階層
1.1プロジェクト計画書ワークパッケージ
1.2進捗報告・会議記録ワークパッケージ
2要件定義書第1階層
2.1業務要件・画面一覧ワークパッケージ
2.2非機能要件ワークパッケージ
3ポータル機能第1階層
3.1受講登録機能ワークパッケージ
3.2動画視聴機能ワークパッケージ
3.3受講履歴機能ワークパッケージ
4試験成果物第1階層
4.1試験計画書ワークパッケージ
4.2試験結果報告書ワークパッケージ
5移行と教育第1階層
5.1利用者マニュアルワークパッケージ
5.2管理者研修ワークパッケージ

ワークパッケージの下にある具体的な作業(アクティビティ)は、スケジュールを作る段階で洗い出します。「何を作るか」の WBS と、「どう進めるか」の作業の手順を分けて考えるのが、PMP の流儀です。

成果物で分ける?フェーズで分ける?

第1階層の切り方には、大きく2つの型があります。どちらにも向き不向きがあります。

WBSの第1階層の切り方

成果物で分ける

  • 第1階層の例要件定義書、ポータル機能、試験成果物など
  • 強み抜けに気づきやすく、完成を判定しやすい
  • 弱み工程の順番は見えにくい(スケジュールで補う)
  • 向くプロジェクト成果物がはっきりしている

フェーズで分ける

  • 第1階層の例要件定義、設計、開発、試験、移行
  • 強み工程の流れが分かり、段階ごとの承認と合わせやすい
  • 弱み下まで工程で分けると、作業の手順表になりやすい
  • 向くプロジェクトフェーズごとに承認を得る

当サイトの整理

PMP で基本になるのは、成果物を軸にする考え方です。フェーズで第1階層を切る場合も、その下は成果物で分けます。

100%ルールとワークパッケージとは?

100%ルールは、WBS で最も大事な決まりです。上の要素の中身は、その下の要素をすべて足すと、過不足なく100%になります。逆に言えば、どの要素にも入っていない作業は、スコープに入っていません。

上の例で、「3 ポータル機能」が3つの機能だけでできているなら、3つを作り終えれば完成です。もし「通知メール」が必要なのにどこにも無ければ、それはスコープの抜けです。

同じ作業を2か所に入れないことも大切です。重複があると、見積もりが二重になり、担当もあいまいになります。

ワークパッケージは、WBS の最下層の要素です。ここで工数とコストを見積もり、担当を決め、進捗を管理します。どこまで分けるかは、次の問いで判断します。

  • 担当者(またはチーム)を1つに決められるか
  • 工数とコストを、根拠を持って見積もれるか
  • 完成したかどうかを判定できるか
  • 報告の周期(例:週次)の中で、進み具合が見えるか

「1つのワークパッケージは8〜80時間」という目安が紹介されることもあります。ただし業界の経験則で、PMI の決まりではありません。プロジェクトの規模に合わせて決めます。

先のことで今は分け切れない要素は、粗いまま置いておき、時期が近づいたら細かくします。この進め方をローリングウェーブ計画法と呼びます。

WBS辞書には何を書く?

WBS の図には、要素の名前しか載りません。各要素の中身を補う文書が WBS辞書 です。WBS と WBS辞書、スコープ記述書の3つを合わせて、スコープ・ベースラインと呼びます。

架空の例。項目は組織により異なる
項目例(3.1 受講登録機能)
識別番号3.1
作業の内容社員が研修を検索し、受講を申し込める画面と処理を作る
完成条件(受入基準)申込から確認メール送信まで、試験仕様の全項目に合格すること
担当開発チームA
見積もり工数・コストの見積もり値とその根拠
前後の関係要件定義書(2)の承認後に着手、試験成果物(4)へ引き渡す
前提・制約人事システムの社員データを参照できること

WBSでよくある間違いは?

試験でも実務でも、次の間違いがよく見られます。

  • 作業の手順表になっている:「設計する→作る→試験する」と時系列で並べると、成果物の抜けに気づきにくくなります。順番はスケジュールで扱います。
  • プロジェクトマネジメントの作業が無い:報告、会議、計画の更新にも工数がかかります。入れないと、見積もりが足りなくなります。
  • WBSに無い作業を始める:WBS に無い作業はスコープ外です。必要なら変更として扱い、承認を経て WBS に加えます。黙って加えると、スコープクリープの原因になります。
  • プロジェクト・マネジャーが一人で作る:作業を実際に行う人が加わらないと、抜けや非現実的な分け方が残ります。
  • WBSとガントチャートを混同する:WBS は「何を」の分解で、期間や順序は持ちません。「いつ」を表すのはガントチャートです。

アジャイルではWBSを使う?

アジャイルでは、WBS の代わりにプロダクトバックログでスコープを分解するのが一般的です。エピックをフィーチャーやユーザーストーリーに分け、近いうちに作るものから細かくします。

考え方は似ています。大きなものを、見積もれて完成を判定できる大きさまで分けることです。違いは、全体を最初に分け切らず、価値の高い順に少しずつ分解していく点です。

ハイブリッド型では、全体の大枠を WBS で示し、ソフトウェアの部分だけをバックログで管理する組み合わせもよく使われます。WBS の判断問題は、タスク別ドリルの Process タスク2で集中的に練習できます。

確認問題1

WBSに無い作業の依頼

(当サイトの独自問題)予測型のプロジェクトの実行中に、チームメンバーから報告がありました。「顧客の担当者から頼まれたので、帳票の出力機能を作り始めた」とのことです。この機能は、承認済みの WBS にも WBS辞書にもありません。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:2。WBS に無い作業はスコープ外です。作業を止め、必要性と影響(コスト・スケジュール・品質)を分析し、変更要求として決められた手続きで判断します。

1:承認の無い作業を続けることになります。分析は、作業を止めてから行います。3:承認を経ずにベースラインを書き換えることはできません。4:顧客への説明を後回しにすると、信頼を損ねます。

確認問題2

100%ルールの点検

(当サイトの独自問題)WBS のレビューで、「5 移行と教育」の下に「利用者マニュアル」しかないことが分かりました。スコープ記述書には、管理者向けの研修も成果物として書かれています。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:3。スコープ記述書にある成果物が WBS に無いのは、100%ルールに反する抜けです。まだレビューの段階なので、WBS に要素を加え、辞書で中身と完成条件を定めます。

1:見積もりと担当があいまいになります。2:合意済みのスコープを、一方的に減らすことになります。4:スコープ記述書で成果物として合意されているので、外せません。

確認問題3

WBSの作り方

(当サイトの独自問題)新しく任されたプロジェクトで、WBS を作る段階になりました。プロジェクト・マネジャーは過去の類似案件の WBS を持っていますが、今回は技術も顧客も異なります。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。

選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。

正解と解説を見る

正解:4。過去の WBS はテンプレートとして役立ちますが、今回の成果物に合わせた調整が要ります。作業を知るチームと分解することで抜けを防げ、当事者意識も高まります。

1:違いを無視すると、抜けや不要な作業が残ります。2:作業の知識が反映されません。3:WBS が無いと、スケジュールの根拠がありません。順序が逆です。

よくある質問

WBSとガントチャートの違いは何ですか?

WBS は「何を作るか」を階層で分解したもので、期間や順序は持ちません。ガントチャートは、作業を時間軸に並べて「いつ行うか」を示す図です。WBS で作業を洗い出してから、スケジュールを作ります。

WBSはどこまで細かく分ければよいですか?

最下層(ワークパッケージ)で、担当を決められ、工数とコストを見積もれ、完成を判定できる大きさが目安です。細かすぎると管理の手間が増えるので、プロジェクトの規模に合わせます。

100%ルールとは何ですか?

上の要素の中身は、下の要素をすべて足すと過不足なく100%になる、という WBS の決まりです。どこにも入っていない作業は、スコープ外であることを意味します。

出典・参考

  1. [1]PMI: PMP Examination Content Outline – 2026(PDF)
  2. [2]PMI: PMP Examination Content Outline – January 2021(PDF・旧版)
  3. [3]PMI: The Standard for Project Management and PMBOK Guide

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