資源マネジメント計画とは?何を書く?
資源マネジメント計画は、プロジェクトに必要な人と物を、どう見積もり、確保し、育て、管理するかを決めた計画です。資源には、人(チームの資源)と、設備・材料・場所などの物的資源があります。
新しい試験内容の概要(ECO 2026)の Process 領域タスク4は「資源を計画しマネジメントする」です。イネーブラー(仕事の例)は、要求に基づいて資源を定義し計画する、資源のニーズと可用性を管理し最適化する、の2つです(当サイトによる要約)。
Process タスク1(統合されたプロジェクトマネジメント計画を作る)にも、「作業の工数と資源の要件を見積もる」という例があります。資源の計画は、全体の計画と一体で進めます。全体の計画との関係はプロジェクトマネジメント計画書の記事で解説しています。
資源マネジメント計画には、ふつう次の内容を書きます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 資源の特定と見積もりの方法 | どんな人や物が、どれだけ必要かをどう見積もるか |
| 資源の獲得の方法 | 社内からの割り当て、外部からの調達、交渉の手順 |
| 役割と責任 | 役割の名前、権限、責任、必要な能力 |
| 組織図 | チームの構成と報告の関係 |
| チームの育成 | 研修、評価、成果の承認と表彰の方法 |
| 資源の管理 | 可用性の確認、配分の調整、使い終わった資源の解放 |
必要な資源はどう見積もる?
見積もりは、作業(アクティビティ)ごとに、必要な人の種類と人数、技能、設備や材料の量を出すところから始めます。主な方法は次のとおりです。
- ボトムアップ見積もり: 作業を細かく分け、それぞれの必要量を積み上げる。手間はかかるが精度が高い。
- 類推見積もり: 似た過去のプロジェクトの実績をもとに見積もる。早いが精度は低め。
- パラメトリック見積もり: 「1画面あたり何時間」のような単位あたりの数値に、量をかけて見積もる。
- 専門家の判断: その分野の経験者の意見を聞く。
見積もった資源を種類ごとに整理した一覧を、資源ブレークダウン・ストラクチャー(RBS)と呼びます。人・設備・材料などの区分で階層に分けると、抜けや重なりに気づきやすくなります。
作業ごとに安全のための余裕を上乗せしすぎるのも考えものです。与えられた時間は使い切られやすいからです(パーキンソンの法則)。不確かさへの備えは、作業ごとに隠して足すのではなく、予備として別に見えるようにしておきます。
計算例:必要な人数はどう出す?
パラメトリック見積もりで作業量を出し、1人が使える時間で割ると、必要な人数の目安が出ます。兼務の割合を入れるかどうかで、結果は大きく変わります。
必要な人数 = 作業量(時間)÷ 1人がこの作業に使える時間
- 1作業量:画面40個 × 1画面18時間 = 720時間
- 2期間:8週間(40営業日)
- 3専任の場合:1日6時間 × 40日 = 240時間 → 720 ÷ 240 = 3人
- 4半分を通常業務に取られる場合:1日3時間 × 40日 = 120時間 → 720 ÷ 120 = 6人
兼務を見落とすと、必要な人数を半分に見誤る
1日を8時間でなく6時間としたのは、会議や問い合わせへの対応など、作業以外の時間を見込んだためです。何時間とするかは、組織の実績に合わせます。
人を増やせば、期間が比例して縮むとは限りません。人が増えると、教える手間や伝達の経路も増えるからです。人数を決めたら、資源カレンダーで実際に使える時間を確かめます。
役割と責任はどう決める?責任分担表の使い方
役割と責任は、責任分担表(責任分担マトリクス、RAM)で決めます。代表的なのが RACI チャートで、作業ごとに次の4つの役割を割り当てます。
| 作業 | PM | 設計リーダー | 開発者 | 顧客の担当者 |
|---|---|---|---|---|
| 要件の確定 | A | R | C | C |
| 画面の設計 | I | A | R | C |
| プログラムの作成 | I | C | A・R | I |
| 受け入れテスト | A | C | C | R |
R(Responsible)は作業を実行する人、A(Accountable)は結果に最終的な責任を持ち承認する人です。C(Consulted)は相談を受ける人、I(Informed)は結果を知らされる人です。
1つの作業の A は1人に決めるのが原則です。A が2人いると、判断が割れたときに作業が止まります。詳しい作り方はRACIチャートの記事で解説しています。人の役割とは別に、チームの構成と報告の関係は組織図で示します。
チームはどう獲得し、育成する?
計画した人を実際に確保するのが、チームの獲得です。社内の人は、機能部門のマネジャーとの交渉で確保することが多く、外部の人は調達の手続きで確保します。憲章や契約で、特定の人があらかじめ決まっていること(事前の割り当て)もあります。
必要な技能を持つ人を確保できない場合は、次のような対応を考えます。
- 別の人を確保し、研修やメンタリングで技能を補う。
- 外部の専門家や協力会社に一部を任せる。
- スケジュールを調整し、その人が空く時期に作業を移す(影響はスポンサーと相談する)。
確保したチームは育成します。研修、経験者との組み合わせ、成果の承認、チームの約束事づくりなどを通じて、チームとして力を出せるようにします。
資源の可用性はどう管理する?
ECO は「資源のニーズと可用性を管理し最適化する」ことを挙げています。必要な資源が、その時期に本当に使えるかを確かめ続けるということです。
そのために使うのが資源カレンダーです。人の勤務日・休暇・兼務の割合や、設備が使える日を記録します。これをスケジュールと照らし合わせると、ある時期に特定の人へ作業が集中しすぎている状態(過負荷)に気づけます。
過負荷が見つかったら、作業の時期をずらす(資源平準化)、余裕の範囲で調整する(資源円滑化)、別の人に作業を分ける、などで解消します。平準化と円滑化の違いは資源平準化と資源円滑化の記事で解説しています。
プロジェクトやフェーズが終わったら、使い終わった資源を計画どおり解放します。新ECO の Process タスク10(プロジェクトの終結)の例にも、資源を含む活動を締めくくることが挙がっています。
予測型とアジャイルで資源の計画はどう違う?
進め方によって、資源の計画の単位と、過負荷の防ぎ方が変わります。
| 観点 | 予測型 | アジャイル |
|---|---|---|
| 計画の単位 | 作業ごとに、人と期間を割り当てる | 長く続くチームを確保し、作業はチームが選ぶ |
| 見積もり | 工数(人日・人時)で積み上げる | ストーリーポイントとベロシティで量を見る |
| 過負荷の防ぎ方 | 資源平準化・資源円滑化で日程を調整する | チームの作業量に合わせて、スプリントの作業を選ぶ |
| 役割の決め方 | RACI などで作業ごとに決める | プロダクトオーナー・スクラムマスター・開発者の責任を軸にする |
ハイブリッドでは、開発チームはアジャイルで安定させ、設備や外部の専門家は予測型の計画で手配する、といった組み合わせもできます。資源の判断は、タスク別ドリルの Process タスク4で練習できます。
確認問題1
計画していた専門家が使えなくなった
(当サイトの独自問題)予測型のプロジェクトで、3か月後からデータ移行の作業に社内の専門家を割り当てる計画でした。ところが機能部門のマネジャーから連絡がありました。その専門家は別の重要案件に入るため、予定の時期には参加できないとのことです。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
正解と解説を見る
正解:1。資源の可用性が変わったので、まずメンバーの時間を管理する機能部門のマネジャーと話します。代わりの人の確保や参加時期の調整など、選択肢を一緒に検討するのが先です。影響が大きければ、その後でスポンサーに相談します。
2:選択肢を検討する前に延期を決めると、スケジュールへの影響が大きくなります。3:話し合いの前に、組織の優先度の判断をスポンサーの力で覆そうとしています。4:経験の浅い人に支援もなく任せると、品質のリスクが大きくなります。
確認問題2
承認する人が2人いて作業が止まる
(当サイトの独自問題)責任分担表を確認すると、「テスト計画の承認」の A(説明責任)に2人が記されていました。品質保証部の課長と、開発部の課長です。2人の意見が分かれ、テスト計画の承認が2週間止まっています。プロジェクト・マネジャーが次に行うべきことはどれか。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
正解と解説を見る
正解:2。説明責任(A)を持つ人が2人いることが、判断が止まる原因です。関係者と話し合って1人に決め、もう1人は C(相談)とするなど、責任分担表を更新します。
1:今回は進むかもしれませんが、同じ問題がくり返されます。3:PM に承認の権限があると合意されておらず、新たな対立を生みます。4:今回の判断を部長に任せても、責任分担のあいまいさは残り、同じ問題がまた起きます。
確認問題3
資源の見積もりの方法
(当サイトの独自問題)新しい倉庫管理システムの導入プロジェクトで、必要な人数のおおよその規模をスポンサーに示す必要があります。作業の内容は、まだ大まかにしか決まっていません。会社には、2年前に似た規模の別の倉庫で行った導入の実績記録があります。このとき使う見積もりの方法として、最も適切なものはどれか。
選択肢を押すと、正誤と解説が表示されます。
正解と解説を見る
正解:4。作業の内容がまだ大まかで、似たプロジェクトの実績があるので、類推見積もりが適しています。早く、おおよその規模を示せます。
1:作業が細かく決まっていない段階では使えません。2:希望は見積もりの根拠になりません。3:三点見積もりは、作業ごとに値を出す方法です。作業が決まっていない段階には向きません。